「未知との遭遇」だった開幕戦/第1節 vs.柏

今年は元日に東京の天皇杯決勝があったわけでもないのに、妙に早くリーグ開幕がきた感じがする。
始動日まではサッカーのない日常が退屈でしかたなかったのだが、なんでだろう。
小平の始動日には行かれず、香港のカップ戦は断片的にネット上で眺め、フェスティバルには行った。
あとはトーチュウさんをはじめとするメディアや関連サイトから情報を目にし、それなりにマッシモ新体制の予習をしたつもり。
しかし、それでもやっぱり実戦を観るに優るものはない。それを痛感した開幕戦だった。

実戦を観たといっても日立台へ行ったわけではなく、立川にある「乞食男爵」という洋風居酒屋でのテレビ観戦だった。
初めて行く店だが、常連さんは現地へ足を運ぶ人が多いとか。生ビールとともに食べ物がとてもおいしかった。
今シーズンも仕事の関係で、アウェイゲームではこのパターンが多くなりそうだ。

結論から言うと、1-1のドローはオーケーである。
いつだって勝ったほうがうれしいに決まっているが、それよりまず新監督のサッカーはどんなもんなのかを知りたい気持ちの方が強かった。
4-3-3とも4-1-2-3とも言われるシステムで、キャンプでは守備を徹底的に鍛えたという。それはいい。
それじゃ攻撃はどうなんだ、守備から攻撃への連動はいかに? という疑問を持ち続けていた。
守りがいくら堅くても、得点しなけりゃ勝てませんからね。

そんな気持ちで始まった試合だったが、昨年までのサッカーとはがらりと違っていて、それでいて面白かった。守備から攻撃の切り替え、そこからシュートまでの速さが実に小気味よい。
かといって前線へ放り込む大味なサッカーではない。
前半はスカウティングに基づき柏の攻撃力を警戒し、東京はマッシモの指示通りにセーフティに守り主体の展開だった。
とくに相手CKのときにはフィールドプレーヤー全員が戻っていたが、後半はスイッチを入れて攻める場面が増えた。
こうして生まれたのが三田の先制ゴール、さらにその後の惜しい攻撃場面の数々だった。

柏も秀人の左右サイドをついて攻めてきたが、どうにかしのいでいたが工藤の個人技ともいえるゴールを奪われた。
権田、あれは手に触れたけど、足を出すわけには行かなかったか? いや、難しいんだろうなあ。

とにかく秀人、三田、東がよく動いていた。あそこの3人が攻守の生命線なのだろう。
前の3人は、武藤ヨッチもドリブルやゴール前でいい動きしていた.
エドゥはどっしりして頼りになることが分かったし、千真が慣れない新ポジションに苦労しながらもゴールしようという意欲は見られた。

この試合では今年からのサッカーがどういうものであるか、まだほんのわずかではあるが垣間見ることができた。
まだまだ未知の部分も多く、1試合ごとにベールがはがされていくのが楽しみでならない。
現代社会において未知のものに触れるというのは、難しくも珍しいことなのかも。
映画だって話題作ともなれば公開前から情報が流れまくるし、旅にしても現地へ行って「ふーむ、テレビで観たのと同じ風景だ」で終わりかねない。

今シーズンの東京に関して言えば、そうした事前知識が皆無とは言わないが、ほとんどない。これが新鮮な期待感につながっている感じ。
さて吉と出るか凶と出るか。ちまたの雑誌やテレビ番組では、こぞって我らが東京を上位6位までもに予想していない。
そんなことで腹を立てるほど若くはないのだが、「なんだい、キミたちも本当は俺と同じでよく知らないんだよね、ね、ね」と肩をたたき合いたくなった。

何はともあれ、今年も“サッカーのある日常”が始まりました。ブラボー! あ、この言葉は禁句でしたっけ……!?

【第1節】柏1-1東京
2014年3月1日(土)/曇のち雨 8.1度/日立柏サッカー場/15:03キックオフ/観客14,623人/主審:佐藤 隆治
得点:後半1分三田啓貴/後半18分工藤壮人(柏)