いやな思いばかりが残った2ステージ制決定劇

ふざけた話もあったもんだ。あ、2ステージ制のことですけどね。
さんざん水面下でじっくり時間を掛けて熟慮したかのごとき綿密なレギュレーションを発表しておきながら、いざ決定したあかつきには「ポストシーズンマッチに進出するクラブに重複が生じたた場合については、これから考える」だって。

もっとも振り返ってみれば、まず「2ステージ+ポストシーズン」なるものの実現だけが先行して決まっていて、それを各クラブにゴリゴリと認めさせていく過程で「どうにかうまくいきそういだから、そろそろ具体的なことを考えなきゃね」となったような気がしてならない。

で、「なるべく試合数多い方がいいっすよね」「そうだな、放映権料にスポンサー料稼がなくっちゃいかんからな」みたいな流れを経て公にさらしたのが、年間優勝を決めるまでの長きにわたるポストシーズンの流れなのだろう。
しかし、重複したらどうするかまでは考えるだけの時間的余裕がないまま、理事会での正式決定の日を迎えることになった。
以上はすべて、2ステージ制に対して否定的かつ批判的な脳味噌の持ち主の邪推に基づくフィクションであるのだが。

お金がない。お客さんが増えない。この状態を放置し続けたらJリーグの将来も危うい。何かカンフル剤を打たなければならない。それ、やるとしたらいつ? 今でしょう!
そりゃ分かりますよ、分かりますって。そこらへんの事情は。

この世は夢や理想ばかりじゃ生きていけないんだ。子どもの頃は、いや、大人になってもそんなつまらない言葉には耳を貸したくなかった。
その後トシをとるにつれて、現実はなかなか厳しいもんだと知ることになるのだけどさ。やだねえ。
だけど、サッカーはいくつになっても夢と希望をあたえてくれる。裏腹に、悔しさや絶望にさらされることもしばしばあるけれど。

話が横道にそれてしまったが、今回の決定には失望したな。
やっぱり、どう考えても決定までのやり方はアンフェアとしか言いようがない。
どうしてそこまでブラックボックスの中での議論に終始したのか。
反対意見が多数であることは分かり切っていたのだろう。

それでもなお、推進するJリーグ側に「確たる信念」があるのならば、もっとオープンな議論を重ねるべきだった。
“日本サッカー界の将来のため”という耳障りの良い言葉のオブラートで本音が包められ、政治家や東京電力の発言にも似ただまされているかのような印象を抱いたのは自分だけだろうか。
「Jリーグよ、お前もか」って感じで、実に後味が悪い。

元・現サッカー選手のコメントも真っ向から大歓迎というのは見られず、「本当は1シーズン制のままがいいが、やむを得ないだろう」といった感じの奥歯に物の挟まったようなアンニュイなものが多い。
ストレートに「ノー!」と言いたいけど、大人の事情で言えないんだな。なんだか気の毒に思えてしまう。
キング・カズの発言は影響力が大きいだけに、「俺は正直言って絶対反対だな。年間チャンプを決めるにはふさわしくないやり方だね」ぐらい言ってもらいたかったけど、難しいよね。

「文句言うばかりじゃなくて代案を出せ」「意外と盛り上がって観客が増えたらどうする」といった声も一部ではある。
半分はごもっともだが、それはまた別の話。
サッカーの本質にかかわり、その哲学に大きく反する重大さな問題を秘めているのだ。
Jリーグおよびそのバックに控える推進勢力のブレーンにとっては予定調和なのかもしれないが、大きく誤った舵取りと言える。
最低5年は続けるとのことだが、5年後も今と変わらず「2ステージ制反対、1シーズン制に戻せ!」の気持ちを持ち続けていることは間違いない。

感情のおもむくままダラダラと言いたい放題書いたが、この件についてはいったん頭の隅へ追いやり、発想の中心を目の前のサッカーに切り替えるとしよう。
今度この話題に触れるときには、できればもう少し気の利いた理性的な提言でも述べられるようにしたい。できるかな?
こうした自分のようなファン心理の流れも推進派の思うツボだと考えると、とてもシャクなのだが。