もっとがむしゃらに、もっと泥臭く/第23節 vs.鳥栖

後半の途中、これで決められたら完全に勝負あったという鳥栖のCKの場面でバックスタンド後方から花火が上がった。
あれは絵画館前の軟式野球場からかな。いやあ、きれいだったな。
試合中にそんなの見てるんじゃないよ! とお叱りを受けそうだが、こればかりは仕方ない。
だって、試合が面白くないんだから。
いや、だからといって試合の真っ最中にプレーから目をそらしてちゃいけませんね、かたじけない。

前半に2失点し、ハーフタイムには自分も含めて東京ゴール裏から容赦ないブーイングの嵐。
そりゃそうだ、序盤は「今日はちょっと違う」と思わせる立ち上がりだったが、15分もしないうちに互角あるいは劣勢な展開に陥っているのだから。
やる気はあるのだろうが、プレーにほとんど反映されていない。
そうすれば、やっぱり観ている者からすれば「オイオイオイオイ、もっとしっかりサッカーしろよ!」ということになる。

最近のポポは、ハーフタイムのロッカールームで叱咤激励の雄叫びをあげることはなくなったのだろうか。
あるいはいくら大声を張り上げようとも、慢性化したため効果がなくなってしまったのか。
後半が始まってからも覇気のない東京の選手たちからは、そんなふうにしか感じられない。
ただでさえチーム状態は下降線だったが、前節の磐田戦でキラー・前田選手から魂を抜かれてしまったのかもしれない。
そんなワケないな。

タマとナオに代えてルーカスと平山を同時に投入し、少し流れが変わり始めたのが後半30分頃。
ようやくゴールが決まりそうな気配がじわじわと漂ってきた。
そして生まれた平山の3年ぶりのゴール、そして千真の3試合ぶりのゴール。
昨年、千真が入団して以来、待ちに待っていた国見ツートップの競演シーンがようやく実現した。
これでイケイケ逆転モードに入った東京だが、それもわずか1分しか持たずに豊田の泥臭い技あり
ゴールで突き放され、そのままタイムアップ。

時間稼ぎをしているかのように見えた相手GKへのブーイングやネガティブなコールは、試合中ならまだしも(自分もやっていたし)、終了の笛が鳴ってからも続けたのには同調できなかった。
明らかに八つ当たりだし、何の意味もないだろう。
それ以上に75分間近く大したチャレンジをしなかった東京に対してのブーイングに徹していた。

悲しそうなルーコン、すまなそうなナオ……ゴール裏までやってきた選手たちの表情をまともに見ながらブーイングするのはツライものがある。
しかし、それでも、賛否両論あろうとも、やらなくちゃいけないと思ったきはやる。
今回はそれに値する試合内容、および結果だったと思う。

磐田、鳥栖といった下位との対戦で勝ち点3を取れなかったことで、今季の目標はまたまた下方修正せざるを得ない。
現在のチーム状態は率直に言ってかなり良くない。
次からは広島、浦和と上位との対戦が控える。
「常識的に考えて勝てるわけないでしょ」というのがノーマルな意見だろう。

ここまでさんざんネガティブなことを書いてきて言うのも何だが、この上位との2試合には下克上あり得ると期待する。
過去を振り返ってみても、東京ってアブノーマルなところが特徴だったりするので。
もちろん、そのためにはある種の開き直りと当たって砕けろ的な泥臭さが必要だ。
そう、このスピリッツこそが東京の原点。「部活サッカー」上等だ!
結局またここに帰着するのは情けないが、仕方ない。
しかし、東京に足りないものは相変わらずメンタリティ(=自立心)だと思う。

鳥栖は東京との試合を見る限り、対戦するたびにチームが出来上がっていると感じる。
今回は平日にもかかわらず、アウェイにもたくさんお客さんが来ていた。
地元でも集客数がそれなりにあるようだし、地域クラブとしてはかなり優秀だ。もちろん、依然として財政事情は苦しいだろうけども。
一度解散の危機になり、その後いっこうにJ1昇格できなかったりしたが、素直にいいクラブだと思う。

☆☆★★★★☆☆☆△★☆★★△☆☆△☆△★△★

【J1第23節】東京2-3鳥栖
2013年8月28日(水)/国立競技場/19:04キックオフ/[観客19,666人]
得点:前半40分豊田陽平(鳥)/前半41分池田圭(鳥)後半36分平山相太/後半39分渡邉千真/後半40分豊田陽平(鳥)