またもや上位に勝てず/第21節 vs.マリノス

今回もまた仕事のため時間的に味スタにたどり着けず、吉祥寺HUBにてテレビ観戦。

店に入ったのは、ちょうどマリノス・兵藤のゴールが決まった直後だった。
なんてこったい、いきなり敵のゴールシーンのリプレイを見せつけられるなんて。
最高にうまいはずの生ビールの最初のひとくちが、ほろニガに変わっちまったじゃねーか。
「まだまだこれから」と気を取り直すが、あっという間にハーフタイムを迎えた。

前半のハイライトシーンを観ても、どうやら押されているし、実によろしくない展開。
後半開始と同時に高秀からタマに交代、今日のポポは動きが早い。
右サイドから中澤の老かいなディフェンスをうまくかわしてクロスを入れるが直接相手GKへ。
1点リードしてがっちりと固めたマリノスの守備ブロックを崩すには、中央からパスをつなぐばかりでは無理がある。
タマのように思い切りのいいアタックが必要なのだが、跳ね返されて横や後ろへパス回しするばかり。

ホーム・味スタでの試合のときのHUB店内は、店員さんは青赤のユニを着ているものの、ガランと空いている。
当然ながら味スタへ行っているファン・サポが多いからだ。
周りに誰もおらず、店内に何台もあるモニターのうちの1台を観ているのは自分だけ。
東京がボールを奪ったり、シュートを打ったりしたときには、お構いなしに1人で声をあげていた。
しかし、いっこうに状況は変わらないまま時間は残り10分に。

この頃になると、良くない結果がかなりリアルに頭にちらつき始まる。
とにかく1点を……と、じりじりする想いで眺めていると、すぐ近くに3人組がの客人がやってきた。
残り時間少ないけど東京ファンかな、と思ったら違った。ダーツをするために来たのだった。
3人で代わる代わるボードに投じている。テレビモニターのすぐ近くなので、丸見えだ。

気が付けば、ついついダーツがどこに刺さるかを目で追っている自分がいた。
ダーツとテレビモニターの二元中継という、非常に落ち着かない状況に耐えきれず、席を移そうと思った矢先、中村俊輔のゴールが決まった。
フェイントを何度か繰り返してから左足で蹴り抜いたボールは、東京のゴールネットに突き刺さった。
一番恐れていた男にやられてしまった。万事休すである。

浮きかけた腰をもう一度イスにおろすと、まもなくタイムアップ。
東京ファンではなかった3人組のダーツは、試合結果に関係なく続けられている。
画面では1点目を決めた兵藤が日々野真理さんのインタビューに応じ、「無失点に抑えたことがよかったです」「今日のウチは集中していました」と快活に話し続けている。
高校、大学を通して先輩後輩の仲だった我らが徳永も、兵藤のゴールは悔しかっただろう。

0-2の敗戦だったが、この点差以上に完敗だったように思う。
チーム力の差をまざまざと感じさせられた理由は、マリノスが攻守にわたり終始落ち着き払った大人の戦い方だったことにある。
メンバーには、サッカーの酸いも甘いも知り尽くしたベテランプレーヤーが揃う。
夏場の体力が懸念されたが、ペース配分をよく考えた試合運びと意思統一の高さによって克服し、プラン通りに事が進んだ試合だっただろう。
詳しく知らないで言うのもなんだが、今シーズンのマリノスの試合でも指折りの出来ばえ、集中力の高さだったのだと思う。

一方の東京は発展途上といえば聞こえはいいが、いまだ課題が多く、進化が止まっている。
6戦負けなしとはいえ上位相手ではないし、試金石とも言えるこのマリノス戦だったが、結果はこの通り。
昨日の試合など、マリノスの手の平の上でいいようにもてあそばれている感じだった。

しかし、ここでぶれてしまうようでは、来季以降に何も残らない。
ここで手詰まりを決め込んでしまったら、来季につながるものはないに等しい。
ゆっくりでもいいから、先へ進んで歩いていかなければ。
そのためには、もっともっとみんなで頭をひねって意見を交わし、同じ意識を共有しながらやっていかないと。

タイミングとしては続々と選手を移籍に出し、「試合メンバーを固定化し、その他の選手は使うこともなく、放出するばかりでいいのか」という批判がファン・サポーターのあいだでは高まってきている。
李忠成が、阿部巧が、自分が育ったFC東京から去るときに語った言葉を、重大に受け止めてもらいたい。

広島、浦和といった上位との戦いも控えているし、それ以前に、下位相手にも「ドローじゃなくて必ず勝つのだ」という気持ちを強く持っていかなくちゃね。
ダーツぐらいで集中力を欠いてしまった、自分みたいなメンタリティじゃいけませんな。

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【J1 第21節】東京0-2横浜FM
2013年8月17日(土)/味スタ/18:34キックオフ/[観客30,698人]
得点:前半31分兵藤慎剛(マ)/後半44分中村俊輔(マ)