真夏のドローに喝采を/第20節 vs.川崎

仕事を終え、最寄り駅の市ヶ谷から地下鉄の南北線に乗ってそのまま一本で新丸子に到着。初めてのパターンだが、こりゃ便利だわ。
駅近くの百均の店で飲み物を冷やしておくための簡易保冷バッグを買ったが、最後の1つだった。
店のおばちゃんいわく「今日はサッカーに行く人がずいぶん買っていきましたね〜」とのこと。
そりゃそうだ、同じ飲むなら冷たくなくっちゃね。
続いてコンビニでロックアイスと各種飲み物を買い、さっそく保冷バッグへ収納する。
炎天下を歩いて15時半に等々力競技場到着するやいなや待機列で冷たい缶ビールでのどを潤し、ほっと一息ついた。

それにしても暑い。誰が何と言おうと周りは気にしなくても暑い。男には自分の世界があっても、暑いものは暑い。
試合の数日前から「こんな酷暑のなかで、いったいどんなサッカーやるんだい」と考えていた。
しかし、すごいもんですね、やっぱりプロです。
試合途中で熱中症で倒れる選手は両チームで1人もいなかったし、終始戦う姿勢を見せた。
「こんなときには俺らもやらねば!」とばかり、いつも以上に気合いを入れて応援。
試合終了後は相棒Wとともに、山の頂上へたどり着いたときのような束の間の放心状態だった。

先取点を奪われたが6分後に追いつき、後半開始直後にいただけない2点目を相手に与えたがこれまた10分後に同点に戻す。
パスをつないで相手ディフェンス陣を崩して、という華麗な流れからのゴールでないことなどノープロブレム。
これは一見個人技によるゴールのようだが、実はチーム全体のモチベーションの高さから生まれたものだろう。
相手に二度もリードを許しながらも追いつき、その後もあの暑さの中で勝利への意欲を失っていなかった。
逆転はならなかったがドローで終えたことは「よくやった」と思う。

両チームの4得点はそれぞれに得点者の個性と気持ちががよく出ていた。
太田宏介フリーキックなんて、ゴールの真裏にいたというのに「いったい、何が起こったんだ!?」という感じの一瞬のうちの出来事だったが、コースケが仁王立ちしているのを見て状況を把握した感じ。
あの仁王立ち、実にカッコよかったぞ。
ひさびさに先発のナオは試合に入りきれないまま交代してしまった感じで、残念だったな。

試合内容の詳細については反省すべき点も多いだろうが、誰ひとり倒れることなく終了の笛が聞けたことでよしとしよう。
異常な気象条件の下ではとかくケガもしてしまいがち。ヨネが倒れ込むたびにヒヤッとしてしまった。
担架で運び出された川崎のレナトはどうなったのだろう。大事に至らなければよいのだが。

試合後、ゴール裏1階の地べたにしばらく座り込み、ほとんどのお客さんが帰った頃になってようやく立ち上がる。
「今すぐにでも水風呂に飛び込みたい」
「もうビールはいいから、キンキンに冷たいそうめんをすすりたい」
サッカーとはまったく関係のないそんな不毛な会話をしながら、人の少なくなった武蔵小杉へと続く暗い裏道を歩いた。
まだ空気はどんよりと蒸し暑く、けたたましいセミの鳴き声がどこからか聞こえてくる。

のたりのたりと30分近く歩いてようやく小杉の駅に着き、手にゲーフラを持っていないことに気が付いた。
競技場か、あるいは帰り道のどこかで一瞬手放してしまったかのどちらかだろう。
作ってから7シーズンぐらい、あちこちのスタジアムで掲げ続けただけに、長年連れ添った友人を失ったような寂しさが湧いてきた。
我ながら自分のことを、いいおっさんなのに子どもみたいだなぁと思いつつも、ミョーにセンチメンタルな気分になりながら立川行きの南武線に揺られて帰宅した。

翌日曜の午前、等々力競技場に電話したが遺失物に青赤2色のゲーフラはなかったとのことで、結局見つからずじまい。
それでも、競技場の電話の応対をしてくれた女性は、
「応援する方にとっては大切なものですよね、お気持ちはよく分かります。今後もし見つかった場合には、必ずご連絡差し上げますから」
と、温かい言葉をかけてくれた。うれしかったなあ。
ないものは仕方ない、気を取り直してまた新しく作るとするか。

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【J1第20節】川崎2-2東京
2013年8月10日(土)/等々力/19:04キックオフ/[観客17,864人]
得点:前半33分大久保嘉人(川)/ 前半39分渡邉千真/後半1分中村憲剛(川)/後半11分太田宏介