無念の惜敗/第4節 vs.横浜FM

日産スタジアムへ向かうときのアクセスは何通りかあるのだが、今回は中央線を下り八王子経由で横浜線というルートを選んだ。
寒いので小机駅を下りたらラーメンでも食うか、とスタジアムとは反対側の出口から街道沿いの商店街をしばし歩く。

しかし5分ほど歩いてもラーメン屋どころか食べ物の店は一軒もないまま、商店街は途絶えてしまった。
こりゃ明らかに飛田給の勝ちだ。しかしそんなことをマリノスファンに言ったら「新横浜を使わないお前が悪い」と一蹴されるだろうな…などと、どうでもいいことを考えながら日産スタに到着する(しかし一度ラーメンを食べたいと思った気持ちは後を引くものだ)。


寒っ! 3月のナイトゲームはまだちょいとツライのだ

前週のナビスコ鹿島戦がいい勝ち方だっただけに、その勢いで首位マリノスも倒そうと気合いは十分。
カシマへは行かれなかったので、今日こそはがっちり応援するぞ! とゴール真裏の前から10列目辺りに席を取る。
本当はラーメン腹だったのだが、代わってビールを胃に流し込んでボルテージを高めていった。

試合前に東京側が千真とアーリアのコールとチャントの雄叫びをあげると、マリノス側からは大ブーイングが返ってきた。
開幕から好調な両チームだったが、お互いに「この試合で勝ってこそホンモノ」みたいな思いがあったのは間違いない。
それに加えてマリノスサポからすれば、自分のところに所属していた2人が敵として出てくるのだから、ひときわ負けたくない気持ちは強かっただろう。

キックオフから緊迫した空気の漂う攻防が続いたが、忠成の先制ゴールが決まって東京リード。
これで試合が本格的に動くかと思ったら、東京は無理に攻めることはしない。
ブロックをきっちりとつくって守る感じで前半を失点ゼロに抑えた。
ハーフタイムの時点で「マリノスの攻撃はしのげる。そのうち追加点も決まるだろうし、きっと勝てる!」と思ったが、甘かった。
後半一気に逆転され、千真のゴールで同点に追いついたものの、終了間際さらに決勝点を決められてしまうとは。
これにてジ・エンド。うーん悔しかったなあ。

中村俊輔にFKを決められたことがマリノスに勢いを与えてしまった。あれが致命的だった。
しかし俊輔はやっぱり巧かった。縦横無尽に動き回り、ボールを運ぶ姿は、全盛時と遜色なかった。
ディフェンスでは、中澤佑二によく守られてしまった感じ。
「ここ!」という瞬間にコースに入り、カットしていたのはボンバー中澤だった。

かつて日本代表を背負っていたベテラン2人が攻守の中心にいて、なおかついい働きをしているところに今季ここまでのマリノスの強さがあるのだろう。
「ベテランは暑い夏になればきっとバテる、だからマリノスの調子が良いのも今のうちだけ」という声がある。
この考えには希望的観測も含めて大賛成なのだが、「夏にバテるのは若手も同じ」というもっともな話もあるので、やはり他力本願なことは期待せずにいたほうがよさそうだ。

負けはしたが、東京のサッカーは全く悪くなかった。
相手にボールを持たれてもゲームを支配しているのは東京だったし、攻撃は相変わらずスピーディにパスをつないで決定的なシーンを何度も作り出していた。何よりも観ていて実に楽しかった。

「いつもと同じようにそんなこと言ってんじゃないよ。大事なのは結果だろ、結果!」
一部のネガティブ派からは早くもそんな声が出てきそうだけど、いくら内容が良くても勝たなければ意味がないことは選手もファン・サポーターも百も承知だ。

しかし今季の東京は昨年までとひと味もふた味も違うと、大多数が感じている。
どこがどう違うかは、多くを語らずとも目と頭と心で分かるはず。
勝てなくて悔しいのはもちろんだけど、終了後に拍手とユルネバで選手を迎えたことは、「不満」ではなく「期待」のメッセージ。
選手も次の試合へ向けて、しっかり気持ちを切り替えてくるにちがいない。

あんなに寒かったのに、キックオフ後はちっとも寒さを感じなかったのは熱戦だったことの証しだろう。
でも、スタジアムを出て歩き始めるとやっぱり寒いし、腹も減った。
売店では焼きそばやら何やら売っていたが、「ラーメンじゃなきゃ食べないもんね」と妙に意地になってしまったのは失敗だった。
誰か小机駅までの道中に屋台のラーメン屋を始めてくれないかな。結構繁盛すると思うんだけど。

☆☆★★

【J1 第4節】横浜FM3-2東京
2013年3月30日(土)/日産スタジアム/19:04キックオフ/[観客 23,698人]
得点: 前半27分李忠成/後半16分中村俊輔(マ)/後半23分藤田祥史(マ)/後半37分渡邉千真/後半45分藤田祥史(マ)