そして今ちゃんは大阪へ――

東京の選手はいうまでもなくみんな応援しているのだけど、2004年に入団してきたときから自分の中で今ちゃんは別格だった。
「なんでだろう」と思ったことがある。
プレースタイル? ポジション? メンタリティ? キャラクター? ルックス?
これらのすべてが自分にとって“お気に入り”であることは間違いないのだが、決め手はこれだ。
東北出身であり、そして何もかもが実に東北人的であること。
これに尽きる。

わたしは生まれも育ちも東京だが、両親は共に福島県喜多方の出身。
親戚のほとんどには喜多方の、福島の、さらにエリアを広げれば東北の血が流れている。
味覚もそうだが、あれやこれや東北人ならではの共通する性質や思考様式が感覚的によく分かる。
だからなんだと思う。今ちゃんのことを格別な存在として見てしまうのは。

昨年は苦手な役回りのキャプテンだったけど、ならではのスタイルで週1回のミーティングではしっかりリードしていたようだ。
自分から「俺がやる」とは言わないけど、背中を押されれば責任感を持ってやることをやる。それも、ほかのどの選手以上にガッチリとやってくれる。
ザックからの評価が高いのも、きっとこの辺に理由があるのだと思う。
完全にひいき目が入っているが、今ちゃんはそんな選手だ。
長友が侍ならば、今ちゃんもまた侍。それだけじゃない、鉄人であり、静かなる闘将なのだ。

移籍が確実なのは分かりきっていただけに、正式発表があっても「ようやく来たか」という感じで、特に大きく心が揺れることはなかった。
それでも、オフィシャルサイトでプロフィールを読み返したら、東京での8年間のいろいろな場面が思い浮かんできて、不覚にも一瞬寂しさが込み上げてしまった。
今ちゃん、本当にどうもどうもありがとう。
ガンバ練習グラウンドでのファンサでは、大阪の方からのするどいツッコミに戸惑わず、サラリとかわせるようにね。無理だよな〜。