まだ頑張ってもらうよ、熊さん

鳥取で昇格・J1復帰が決まり、翌日には期待に反して鳥栖が敗れてJ2優勝があっけなく決まってしまった。
それにしても人間、目標を達成して初めて口に出せる言葉があるもんだ。

昇格決定後のコメントで、キャプテンとして代表選手として休む間のなかった今ちゃんは「本当に疲れていた」とこぼし、シーズン途中から古巣の苦境脱出のため現役復帰してブラジルからやってきたルーカスは「実はとても不安だった」とつぶやいた。
その他の選手たちも、多くがこの1年間物凄いプレッシャーを感じ続けていたというようなことを話していた。

そして監督の熊さん。
復帰を決めたうれしい鳥取戦から一夜明けたスポーツ紙には「東京昇格決定」の記事とともに、「大熊監督今季限りで退任」のニュースがあるのに驚いた。
9月ぐらいから来季も続けて指揮をとる可能性は五分五分と思っていたが、いよいよ昇格が近づいてきたここ最近は7:3で継続かなという読みだったので、意外だった。

目標達成後の熊さんの素直な言葉が、今週のサカマガに載っている。
読んで感じたのは、選手同様に苦しかったんだな、ということ。
それともうひとつは、「やはり現場の監督は何でも気付いているんだなあ」ということ。

我々が日頃東京について、あーだこーだ、ああせいこうせい、と言っていることなど、大体においてすでに認識しているのだ。
それらへの対応はファン・サポーターの望む形でないこともある。
周囲から不満・不評が飛び交おうと自分の考えを通すことも、プロならば当然あり得ること。
それで好結果が出ればオーケー、反対に失敗に終わればブーイングが待っている。

他の媒体の記事に載っていたが、シーズン序盤の不調期に「大熊ヤメロ」の声が高まったが、これはもちろん熊さん自身の耳に入っていて、ものすごくつらい時期だったという。
かく言う自分も、5月のアウェイ草津戦敗北後のこのブログでも「もはや監督を替えるしかない」と書いた。

熊さんは2001年東京を応援し始めたときの監督であり、「大きな声を出す人だなあ」と思って以来、好きな気持ちに変わりはない。
だから「ヤメロ」と言うのは半分は心苦しかったが、それ以上に東京が1年で復帰することのほうが重大だった。
そのときは、好転するためにはもはや監督交替しか道はないと判断したわけだ。

今シーズンは昨年の反省をもとに「1年でJ1復帰のためにつねに危機感を忘れず、ブレない気持ちでいこう」などと、自分には珍しく決意を固めた。
それでもやっぱり成績に応じて上下の波があった。
熊さんにはとんだとばっちりでした、ごめんちゃい!

火曜にはクラブのオフィシャルHPにも退任が正式に発表され、ともすれば関心は次期監督のほうへ傾きつつある。
だが、まだ熊さんには監督としてもうひと仕事やってもらわなければならないことがある。
それは天皇杯制覇。

もうここまできたら遠慮することはない、本気で狙ってしまおう。
昇格決定の鳥取にも行かれず、優勝はポカーンと決まってしまい、イマイチ消化不良の恵まれないファンに歓喜の瞬間を!
そのためにはまだまだ小平で声を張り上げ続けてもらわねば。
リーグ戦あと2試合と天皇杯、ここからが強くなってJ1へ復帰するための実戦での最終調整期間だ。

近いうち小平へ行き、練習中のあの大声を耳に残し、ファンサービスでは心やさしき紳士に変貌する熊さんの姿を目に焼き付けてこよう。
天皇杯頑張って、とハッパを掛けてこなくちゃね。
来年元日までは、しっかりと東京の監督でいてもらいましょう。