日韓戦快勝で考えたこと

親善試合とはいえ日韓戦となればガチンコ、というのは当たり前。
その韓国相手に、すばらしい内容のサッカーで3-0で快勝した。
ちょっと前まで「日本は得点力不足が永遠の課題」と思っていたんだけど、相変わらず世の中には永遠のものなんてありゃしない。
もちろんこれは相当に喜んでいいことなんだけど。

ザッケローニがすごいのは、選手たちをめいっぱい信頼していることだ。
自分が呼んだ選手たちがやれないわけがない、必ず期待に応えてくれると思い込んでいるように見える。
あんな上司なら、その部下はやる気にならなきゃウソだろう(たぶん)。
選手たちも監督のメッセージを自分たちなりに考え、プレーに反映させている。

試合後のニュースでは香川、本田、清武と得点に絡んだシーンばかりが流されていたが、この試合でもわれらが今ちゃんはザックの信頼の一番頭。不動のCBだった。
日本が守備に回る場面はどちらかというと少なめだったので、どうしてもテレビ画面上での露出も多くないけど、この試合でも堂々の完封だった。

代表戦の翌日はJリーグに関心がない人もサッカーのことを話題にする。
でも、東京ファン・サポーターでなければ今ちゃんのことは話題に出さない。
でも今ちゃんはやることをやっている。
それをザックは見逃していない。東京が降格しても信頼感はいっこうに変わらない。
すごく嬉しいし、ありがたいことだ。
こんな監督だからこそ、当たり前のように「やってやろう」という気持ちになるのだろう。

一昨日の夜、2002日韓W杯での日本の初戦、対ベルギーのビデオを観てみた。
先制点はベルギー。しかしその後日本は鈴木、稲本の2ゴールで逆転したが、再び失点を喫して2-2のドローに終わった、あの試合である。
日本にとってはW杯での記念すべき初の勝ち点1を挙げたわけだが、終了後の日本選手は「やったね」ではなく、ほとんどが「勝ちたかった」と悔しがっている。その中に松田直樹がいた。

1ゴールを挙げた本田は昨夜の日韓戦を前に、こんなふうに話したようだ。
「今、こういうふうにみんながここにいるのも、松田さんたちの活躍があったから。松田さんがやり遂げたかったことを(僕らが)やり遂げれば、報われると思う」

今の日本代表には海外で活躍する選手がたくさんいて、得点力もアップしてきた。
そんな中でも、変わらないもの、受け継がれるべきものがある。
2002W杯での勝ち点1と、松田直樹の死と、本田の言葉と、日韓戦での勝利と、いろいろなものが【日本サッカー】という一本の線でハッキリとつながった気がした。
その線はサッカーのある日常がある限り、きっと途絶えることなく続いていくだろうし、続いていかなければならない。