決着は最終節へ/vs.山形

今年のホーム最終試合挨拶は、例年とは全然違う気分で聞いていた。正しくは途中の言葉のところどころだけが耳に入ってきただけかもしれない。多くの人が感じたように、終わってみれば今シーズンの東京を象徴する内容のドロー。試合後しばらくは、悔しさやガッカリとも違う消化不良な気分だけが残った。「今日で決まる」という思い込みは甘かった。

本来ならば酒を飲んでああでもない、こうでもないと話した末に「大丈夫大丈夫、つぎは絶対に勝てる!」に落ち着いて解散、といきたいところだった。あいにく翌日朝早くから車での仕事が控えているので、深酒はできない。おとなしく帰宅したあとは試合のVTRを観終わるとまもなく、試合前に飲んだビールが効いたのか眠気に襲われてしまった。

得点には程遠い展開が続き、長いトンネルの中にいたときの感覚がよみがえった。ついこの前までずっと頭を抱えていたというのに、すでにだいぶ前のように感じてしまうのだから、まったく忘れやすい。しかしよみがえったイヤな感覚は歓喜の平山ゴールで再び吹っ飛んだ……のも束の間、後半41分に田代に同点ゴールを決められ、またまたトンネル期の気分に戻った頃、終了の笛が鳴った。

それでもやはり、苦しんだトンネル期とは違う。あの頃はとにかく何もかもがマイナス方向へ向かった。やることなすことうまくいかなかった。しかし今は違う。米本がいる。梶山がいる。その他の負傷者も続々と戻ってきた。大黒、平山の両FWがゴールを量産し、DFも今ちゃんを中心に毎試合実によく守っている。戦力が整い、確実にチーム力は上向いている。

ただもうここまで来たら一番大事なのは、そのチーム力をそのまま発揮できるだけの精神力が大きくかかわってくる。NHK解説某Y氏が繰り返し口にするメンタリティってやつですね。昨日の試合後、今ちゃんとヨネからプレッシャーの物凄さについてのコメントが出ていた。そりゃそうだろう。応援する我々でさえしびれる今日この頃なのだから。

プレッシャーを感じるなというのは無理なことだ。ただ、過度の緊張感は平常心を奪い、動きを硬直させる。もうここまできたら思い切っていってもらいたい。やるだけやって落ちたらしょうがないのだ。それでも東京は東京だし、我々は応援するわけだし。もちろん今現在は、そんなことはまったくあり得ないと確信している。

今日は仕事が早めに終わったので、大宮との練習試合がある小平へ行こうと急に思い立ち、車を走らせた。途中、府中で競馬ジャパンカップのせいか渋滞が激しく、グラウンドに着いたときにはすでに練習試合どころかファンサービスの終わり際になってしまった。そこにちょうど出てきたのが、あらクマさん♪だった。

あの場に行くことはあっても、あまりサインや話をすることはないのだっが、思わず今日ばかりは大熊監督に声をかけたくなった。「緊張感も大切ですが、選手たちをいい意味でリラックスさせてプレッシャーをやわらげてください」と意味のありそうでなさそうなことを言ったら「はい」と笑って応えてくれて握手。これで消化不良な気持ちとはオサラバできた気がした。