まだまだ 2/vs.新潟

小学生の頃、欽ちゃん・二郎さんのコント55号の「なんでこうなるの?」というお笑い番組があって、毎週欠かさずに観ていた。「ゲバゲバ90分」や「8時ダヨ!全員集合」とともに大のお気に入りで、今の金太郎飴みたいなお笑い番組より何十倍もおもしろかった。同世代に話してもあまり覚えている人がいないのが残念でならない。

そんなことはどうでもいいのだけど、その「なんでそうなるの?」というセリフが頭の中にいくつも浮かんだのが、試合終了まぎわ突然嵐のように襲ってきた新潟のPK場面だった。もしこんなエンディングのシナリオを書いた脚本家がいるとしたなら、「2回も続けてこんな終わり方にするなんて愚の骨頂だ!」と怒鳴り飛ばしたにちがいない。

ルシオがキッカーと分かったときは悲痛な心持ちではなく、「いくらなんでも酷すぎやしないか。でもこれも宿命なのか」といった厭世的な思いが瞬間的に膨らんだ。だが次の瞬間、膨らみかけたものはパチンと弾けて消え去った。勝っていない。またまたまたまた(いくつ書けばよいのだ)味スタでドローなのに溜め息が出なかったのは、ひとえに権田大権現のおかげ。失敗と成功を繰り返しながら確実に成長している。


この試合で非常によかったのは権田と、もうひとりは梶山。ボールを持ったときの鬼のようなキープ力とドリブルは彼ならではのもの。決めたPKは最初に平山に「蹴るか」と尋ねたようだけど、梶山でよかった。昨シーズン大分戦でロスタイムに決めた時以来、一見危なげながらも梶山はPKが巧いと思っている。度胸があるのかな。

一方、頑張ってほしいのはナオ。決定的なシュートをことごとく外したのには、ガッカリしてしまった。一番残念だったのは大黒がポストになりヘッドで落としたのをボレーで打って枠外だったシュート。あれはいただけなかったなあ。きっとナオ自身がものすごく悔しがっていることだろう。今週は小平でみっちり実戦的なシュート練習に励んでほしい。

羽生が攻撃的に活躍する場面が見られなかったのも残念だ。大熊サッカーに代わったとはいえ、東京には絶対に必要な選手。リカが出場停止の次節はスタメン確実だろうから、思う存分に前線をかき回してもらいたい。やっぱりベテランの存在は必要だ。まだ30歳というのにチーム最長老に押し上げられちゃって、なんとなくかわいそうだけど、ドンドン引っ張ってほしい。




昨夜、新潟在住の友人のアルビサポKから携帯にメールが入った。開いてみるとこんなふうに書いてあった。
《テレビで観てたよ。マルシオは今年2回目のPK失敗。昨日もまた、蹴ろうとしているからイヤな予感がしたんだよな〜。何だか負けた気分。そっちは勝った気分なんじゃない? 大熊、声デカすぎ! テレビでもガンガン聞こえてたよ。アルビはあの声にやられたかな。(中略)まあ、この試合をハズミにして、エフシーもなんとか残留してくださいな。来年は味スタ行きたいから頼んだよ。》
そんなこと頼まれるまでもないわい。こっちだって来年はビッグスワンへ行くつもりだってば。それがはっきりするためにはまだもうちょっとだけどね、まだまだだ。