まだまだ/vs.仙台

中高年のオバちゃまに人気のお笑い芸人・綾小路きみまろの持ちネタに、「人生には三つの坂があります」というのがある。上り坂、下り坂、そしてもうひとつは「まさか」なのであります……そんなベタベタなオチなのだが、仙台戦の結果を知った瞬間、その「まさか」としか言いようのない気分だった。サッカーでそんな衝撃的な場面は過去にも経験しているが、到底慣れっこになれるはずがない。

16日土曜、仕事を終えて石巻から仙台へのJR仙石線に乗ったのが午後3時半近く。ここでようやく1人になれたので携帯でユアスタの試合をチェックすると、2-1で東京リード! ウシシとニヤついたのはもちろんのことだ。それから車中で二度、三度と繰り返し速報を見るがスコアは変わらない。車窓にはのどかな松島の風景が広がり、気分は上々だった。



仙石線の車両の中から窓越しに松島の海を望む。試合はこの時間に動いていた


時間的に試合終了の頃合いになった。不安なのは終わりぎわにドカンと決められてのドローという終わり方である。そんなことはあるまいと悲観的な思いをうち消しつつ速報サイトを開くと……ナヌ〜〜〜ッ! 2-3で東京の逆転負けではないか。驚嘆とショックと疲労が一度にやってきた。ひどい話もあったものだ。茫然とした気持ちのまま、列車は仙台に到着した。

17時30分発の新宿への高速バス発車まで約40分。何か胃の中に放り込まなくてはと思い仙台駅の中をさまよっていると青赤ユニを1人見かけた。続いて駅前コンコースへ出たら、くるわくるわ、続々と東京のファン・サポーターが。腰掛けて携帯を凝視するユニ姿の青年がいたので声をかけて現場の様子を聞くと、「雰囲気はものすごくよかったんですけどね。信じるだけです」というシンプルな答えが返ってきた。

バスの乗客には青赤組が何人も交じっていた。発車してまもなく、薄暗い照明に切り替わってしまった。これでは本も読めない。通路を隔てて隣の人はひたすらずっと携帯を見つめ続けている。サッカーに関係するものなのか、あるいは無関係なものなのか、いったい何を見ているのかは分からない。ただ、その険しくも疲れ切った横顔からは相当な悔しさと失望感に陥っていることだけは十分に感じられた。

やたらと冷房の効いたバスに5時間ほど乗っていたことに加え、ここ1、2週間の忙しさによる疲れが重なり、風邪をひいてしまった。翌朝には待ってましたとばかり喉に痛みが出て、悪寒、熱と続き、今日になってなんとか咳と鼻水だけに落ち着きつつある。今週土曜の新潟戦までには完調に戻したい。、米本も復帰しそうだし、仙台駅コンコースで青年が言っていたように信じて応援しよう。あと8試合。まだまだだ。