今日までそして明日から/vs.湘南


ゴールの瞬間、青赤応援者は歓声をあげ、飛び跳ねた。ワッショイワッショイの掛け声は、一体いつ以来だろうか。ドリンクホルダーのない国立らしく、そのうち誰かがビールの入ったコップを倒し、前の人の衣類にかかったり、椅子を濡らしたり。「すみません!」と謝ると、「ああ、いいですよ」と笑顔で応える。勝ち試合っていいもんだ。

長かったトンネルをようやく抜けた。「きっかけをつかみさえすれば大丈夫」と、ここに何度書いたことだろう。先制点を取ることができれば、それを契機に2点目、3点目と続いて決まってきっと勝つと思い込んでいたのだが、やっとその通りの試合になった。うれしさと安堵感が半々の気分で迎えた終了の笛だった。

大黒、石川、リカの前線攻撃陣揃い踏みの3ゴール。ん? ちゃうちゃう。もう一人、平山がいるわな。シュート4本打ったが、例によって決まらなかった。とはいえ、この日はナオが決めた2点目のアシストをはじめ守備やポスト役など、かなり献身的な働きを見せたのでオッケーとしよう。

安心した場面があった。これは帰宅後のテレビを観て知ったことだが、1点目のゴール後、決めた大黒を何人もの囲んでいたのに加え、他の選手たちも喜びの気持ちを身体で表現していた。このところ大黒は他の選手とコミュニケーション不足では? と思いかけていたのだが、それは杞憂だったようだ。

最大の功労者はファインセーブ連発の権田で決まり。前半、湘南に先制点を許していたら、この試合は非常にキケンだった。だが代表選出効果だろうか、権田大権現のプレーには自信に満ちあふれていた。本来、GKの活躍場面が多いのは困りものなのだが、視察にきていたザッケローニに対する強烈なアピールになっただろう。



↑試合後のインタビューも元気ハツラツ! 権田大権現様々の試合だった


それにしても、これほどまでに勝利が待ち遠しかったのは、東京を応援し始めて10年間で初めてのことだ。この1勝がどれだけ大きな意味を持つかは、いくらでも勝手に想像(妄想?)を膨らますことができる。しかし現実的に言えば、このあとの試合の戦い方、そして結果で証明してもらいたい。

1勝したからといって、急に楽観的になることなんてあり得ない。熊さんの試合後のコメント通りに毎試合、負けたらジ・エンドのトーナメントのつもりで臨んでいくのが正解だ。今日までそして明日から。ビシッ! シャキッ! と再び気持ちを引き締めなければいかんのだ……と、まずは誰よりも自分を戒めておこう。