トンネルは長いけど/vs.広島

またホームで勝てなかった。開幕戦でマリノスに勝って以来ずっと白星はなしで、1勝7分け3敗。でも、今はもっともっと深刻な事態に直面しつつあるわけで、そんな話題はどうでもよくなってしまった。「忙しいんで、それどころじゃありません!」といったところだろう。たしかにそりゃそうだ。

前節のセレッソ戦と比較すると、昨日の試合開始後しばらくは、まだ勝利を意識した動きに見えた。広島が今一つの調子ということもあったのだろう。前半にCKが続いてもまったくゴールの気配なし。後半、大竹、重松、リカルジーニョを投入するが、0−2となったその時間帯には、もはや広島は引いていてジ・エンド。

2失点とはいえ椋原はCBとしての仕事はまずまずこなしていたと思う。権田も前節のミス連発に発奮してか、ひさびさに本来のプレー。とくにフィードはよかった。あと2失点していてもおかしくない試合だった。他のフィールドプレーヤーは縦横斜め、すべての連係が見事なまでにアンバランス。

広島はなんのプレッシャーもなく、楽しく自分たちのサッカーができたはずだ。ペトロヴィッチ監督の目には、あえぎ苦しむ東京の戦いぶりに、3年前の降格したときの自チームが重なったのかもしれない。試合後のコメントでは東京を立てながらも、次節の山形へ向けての抱負が飛び出すほどで、余裕が感じられた。

ポゼッションサッカー、パスサッカー、ムービングフットボール……呼び方は何でもいいが、城福東京が目指すスタイルに一番近いのは広島だ。そのチームを相手に、自由奔放にやられてしまった現実。自分たちの非力さを痛感したのだろう、終了後挨拶時の石川は今まで見たことがないほどに激怒し、悔しい思いを抑えきれずにいた。

他の選手もみんな、もっともっと自分たちのふがいなさに怒ってほしいし、悔しがってほしい。傷口に塩を塗られたような容赦ないブーイングを思い返し、「冗談じゃねえっ!」と思ってもいい。それらの感情を闘争心に変え、一方では失いかけている自分たち本来のサッカーを取り戻せるよう、今後の練習に努めてもらおう。

今週は平日開催がないので、次節神戸戦まで1週間ある。鹿島〜セレッソ〜広島とハードな3連戦を終え、ここできっちりリセットしてほしい。誰か年長組が何人かで音頭をとって、スイカでもほおばりながら、心技両面についてじっくり時間をかけて話し合うといい。みんなへの呼び掛け人は、やっぱり今ちゃんかな(笑)。

応援するこちらもリセットだ。声のかすれはまだ残っているが、気持ちはすでに切り替わっている。試合はいつでも来いという感じ(神戸に行かれないのが残念)。このトンネルは思ったよりもずっと長い。でも、いくら長いトンネルでも抜けるときがくる。その向こうはきっと晴れてるはずだ。もう少しの間だけヘッドライトをつけながら、自信を持って走っていこう!