オグリが東京にやってきた

今朝の「大黒将志、東京へ移籍」のニュースには少なからず驚いた。W杯中断明けからの“反撃の夏”に向け、最大の課題である得点力不足をどうするのか。FWを補強するのか、しないのか。資金不足その他の事情で現状のままでいくのならそれもやむなしで、今季の残り試合は平山・赤嶺・達也・リカ・重松と心中する覚悟もかなりできていた。

その代わり、J-VILLAGEでの合宿では日の出から日没までひたすらシュート練習に専念してもらうしかあるまい。いや、深夜も寝ないでかな。冗談はさておいても、そのぐらいの気持ちで臨まないことにはゴール欠乏症解決は難しい、というのが素直な気持ちだった。そんな矢先に降って沸いた今回の大黒移籍話。土曜からの合宿入りを前に発表となったのだろう。

大黒というと2005年のガンバ在籍時代、アウェイ万博でハットトリックを決められ、3-5で負けたこの一戦が忘れられない。試合後は猛烈に悔しかったが、一方では大黒のテクニックとシュート精度を認めざるを得なかった。当時の日本代表FWでは高原、玉田より上と思われたこともあったが、海外移籍後は今ひとつ目立つ活躍がなかったせいか、06年ドイツW杯では出場機会も少なかった。

帰国し、緑のチームへ入団。東京応援者で「大黒はあまり好きじゃない」という人が増えたのは、この時点からかもしれない。実を言うと僕もそういう傾向にあったし(苦笑)。そうなると、いくらゴールを決めようとも、プレー中のちょっとした仕草も、さらには髪形・銀髪も気にいらん……となってしまう。昨年末のオフにも一瞬、東京への移籍話があったが、大した歓迎ムードにはならなかった。

ところがこのたび、レンタル移籍ながらヴェルディから横浜FCを経て東京へやってきた。こうなると例によって「東京の選手になってしまえば誰でも応援」である。応援者ならではの柔軟性に富んだ思考力をフルに駆使し、大黒は早くも愛すべき選手として認知され、素早く応援モードに切り替わっている。実にスピーディだ(苦笑)。1日でも早く城福さんのサッカースタイルに馴染んでもらおう。

すでに今日から小平での全体練習に合流しているという大黒のニックネームはオグリ。足が速かった大黒がまだ少年の頃、公営の地方競馬から中央競馬へ移籍して大人気だった快足馬・オグリキャップにちなんで友達から名づけられたという。東京でもガンガン走ってスペースをつき、精度の高いシュートでゴールを量産し、他のFW五人衆にいい刺激を与えてもらいたいものだ。