仰天ドローも喜びは半分/vs.清水

昨日の試合は仕事で一緒だった人の車に積んであるテレビで、後半20分過ぎぐらいから終了までの25分ぐらいを断片的に観ることができた。群馬方面にいたからなのか、はたまたテレビがあまりにもレトロなせいなのか(後者にちがいない)、途切れ途切れにしか映らない画面を横目で見つつハンドルを握っていた。

そのテレビときたら実に意地が悪く、清水の2点目が決まったときまでは映っていたのに、その後画面は何も見えず音声も聴こえなくなる始末。「なんだい、このテレビ問題あるよ」と助手席に座る車のオーナーにボヤいても、「古いからもう限界かな。あきらめな」と実に冷淡な反応しか返ってこない(ちなみにこの人はジェフ千葉ファン)。

5〜6分すると突然と復活。画面をチラッと眺めると、左上のスコア表示が0-2から2-2に変わっている。なんだなんだ、何が起こったのかまったく訳が分からない。アナウンサーは「わずか3分間に長友、松下の2ゴールで同点に……」みたいなことを話している。この事実を把握して「オオ〜ッ」と叫んだのも束の間、まもなく試合は終了。直後に画面は再び砂の嵐に変わった。


その後、各方面から試合についての情報が入り、大ざっぱに試合内容を把握しつつ帰宅。NHKを録画しておいたのを観た。さすがにW杯が近くなってきただけあって、実況の内山アナと解説の福西氏は何かにつけてはW杯の話題に触れることが多い。カメラも東京の長友、今野、清水の岡崎といった代表選出メンバーを中心に追っていた。

0-2だったのが後半40分から2-2になったのだから、東京サポにとってゴールの瞬間はたまらなかっただろう。現場にいれば僕も相当興奮し、同行の相棒はもちろん、周りの見知らぬ人たちとハイタッチしたにちがいない。そして残り少ないロスタイムに「なんとしても逆転ゴールを!」の思いで声を振り絞っていたことだろう。

しかし、結果をすでに知っていながら観る場合、当然ながらテンションはやや下がる。ゴールシーンにしても「そろそろ来る頃だな」と待ちかまえてしまっているから、大きな興奮には至らない。要はどんな試合内容だったのかを知りたいわけで、かなり冷静な目で展開の細部を確認しながら見ていくことになる。

勝ち点0を最後の最後で勝ち点1にしたという結果はベターではあるが、ベストではない。この清水戦はなんとしても勝ちたかった。前節でトンネルを抜け出したのをきっかけに、一気に首位まで食ってしまい、いい気分で中断期間を迎えよう、という実にシンプルな期待を山形戦からの1週間、ずっと胸に抱いていたのだがダメだった。それがやはり悔しい。

東京は例によって点が入らない時間が長く続いた。相変わらず先制点を獲れないし、クロスやフィニッシュの精度がよろしくない。しかし前々節広島戦までのゴール欠乏症による悲壮感は消え、平山をはじめ攻撃陣が山形戦と同じように、積極的に前を向いていたのがよかった。気がつけばヨングン、そしてリカまでも、だいぶ連係が取れてきたように感じた。

この試合のMVPは長友で決まりだろう。東京の試合では久しぶりに持てる力をフルに発揮してくれた気がする。本人も「生涯最高のゴール」と喜んでいたし、いい形でW杯へ送り出すことができた。あの弾丸ミドルボレーはいつまでも記憶に残る一発になりそうだ。長友が東京のユニを着て決めた最後のゴールになるのかどうかは別にして……。