気がつけば?? ナビスコ優勝/vs.川崎

あの日から数えて、ひぃ、ふぅ、みぃ。3日も経ってしまったのに、まだその感動を書けていない。あまりにも大きな喜びは、その直後よりも後からの方がじんわりと湧いてくるもの……というのはまったくの言い訳だ。

優勝当日の3日は歓喜の泥酔、翌4日は二日酔いに加えて仕事で疲労過多、5日は残業で帰宅後すぐにバタンキュー。で、3日後の本日夜になってあらためて当日の一部始終を思い返し、なおかつビデオを観たりすると、やはり興奮醒めやらぬ試合直後とは違った思いになるものだ。

座ったところがゴール裏の最上段に近い方だった。前半しばらくの川崎の優勢ペース、そしてヨネの先制点が決まり大喜び。そこからパスワークが冴えを見せる東京ペースとなった。生観戦の時点ではここまでは記憶が残っている。

その後、前半の残りからが後半のしばらくまでが怪しい。この間のプレーが記憶の彼方へ飛んでいた。そして平山のゴール。これは鮮明に覚えていて、達也からのクロスが放たれたときには、なぜかもうゴールインする予感がした。そして直後、坊主頭のヘッドで2点目をゲット。

その瞬間、勝利を確信してなぜか目頭が熱くなってきて、しまいには涙があふれてきた。まだ試合中だというのに。
「なんですかぁ、早すぎますよっ」
と相棒Wから言われても、こればっかりは仕方ない。でも何なんだろう、あのときに込み上げてきた理由は。

今思えばの話だが、きっと平山相太が決めたからだと思う。東京に移籍してきてから4年目。前監督の原さんからも期待され、鍛えられ、それでも芽が出ず、五輪代表にも選ばれず、ダメなのかと囁かれていた平山が、城福東京の2年目の今年になって顔つきが変わった。プレーも変わった。

そして大一番のナビスコ決勝で、勝負を決すると言ってよいゴールを決めた。たぶんきっと、これに僕は泣けてしまったのだろう。相太にやられてしまったのだ。

その2点目から試合終了の笛が鳴るまでの間、再び現場での記憶は半分以上飛んでいた。覚えているのは、終盤に川崎がシュートをつぎつぎ放っては権ちゃんの好セーブで失点を許さなかったぐらいである。あとはほとんど記憶にない。それはさっき、ビデオを早送りで観てはっきり分かったことだった。

「この前はお疲れさま。よかったよな、ホントに。でもさぁ俺、内容のことを断片的にしか記憶がないんだよ」
相棒Wに電話してみた。こんなことは自分だけなのだろうか。もしそうだとしたら、ちょっと自分のアタマに自信をなくしてしまいそうだ。すると、
「いや〜、実は俺もそうなんですよ。どうもはっきり覚えていないままに優勝決定の瞬間を迎えた、って感じ」
Wもまた同じく、記憶が曖昧になっていた。

協議の結果、早い話が酒の飲み過ぎ。いつものビールに加え、この日は寒かったので日本酒やワインの紙パックを持参し、スタンドに着席後から勢いよく始めてしまった。これが酔いを加速させ、断片的に記憶を失わせた最大の要因ではないか、という結論に至った。

でも僕はひそかに「飲み過ぎ」だけではないと思っている。記憶に残っていない時間帯は、極めて東京が安定感を発揮してボールを保持していた場面だったと。だから試合としては案外と地味な内容だったかもしれないが、東京の完勝と言ってよい。

川崎の強力FWを封じ込め、東京は普段通りに自分たちの攻撃的なサッカーを貫いた結果の勝利だったのだろう。だから今ちゃんの「優勝できて嬉しいというか、ほっとしている」というコメントは正直な気持ちなのだと思う。

城福さんが監督に就任して2年目。紆余曲折を繰り返しながらも、確実にチーム力は上昇してきている。だが、まだまだこんなもんじゃない。焦る必要はないから、これまでと同じように一歩ずつ、一段ずつステップアップしていってもらいたい。