「悲しくてやりきれない」を乗り越えて/vs.柏

4−0の大勝ちだった柏戦。またもや仕事のため、携帯速報で結果を知り、帰ってからスポーツニュース番組を観るというパターンだった。こまめに携帯速報をチェックすると、そのたびに東京の得点が増していく。味スタの大歓声や盛り上がりぶりを想像し、その場に自分がいないことを悔やんだ。

赤嶺・羽生・平山、そしてナオという前線の選手が揃って1ゴールという勝ち方なんて、なかなかありそうであるもんじゃなない。羽生この全ゴールに絡む活躍ぶり。ナオは磐田の前田と並ぶ15ゴール目で、得点ランクトップに躍り出た。

そのナオが、ゴール直後に立ち上がれず地面を叩いて痛がった末に担架で退場するという事実。歓喜のゴールの直後に訪れた壮絶な不幸。こんなことが起こるなんて。ナオが退場したあと、味スタの応援者たちがどんな心境で試合終了を迎えたかは容易に想像できた。

帰宅後、夜遅い時間のスポーツニュースでは20秒ぐらいで試合の流れとナオの負傷退場をちょろっと流した程度。さらにyoutubeにアップされていた画面の激痛に顔をしかめるナオを繰り返し観ていると、どんどん切ない気持ちになっていく。

ほぼ同じ時間に知ったミュージシャン・加藤和彦さんの急な死。追い討ちをかけるように、この世の非情さやら無情さやら何やらかにやら、いろんなネガティブな感情が襲ってきた。“悲しくて悲しくて、とてもやりきれない”……加藤さんが作った歌の、そんな一節が浮かんできた。

しかしそれからまもなく、いとも単純に気分は変わった。ナオのブログがアップされたのを目にしたとたん、そんな暗い気持ちの黒雲は急な速度で流れ去っていった。一番つらいはずの本人が他の選手やサポーターのことを気づかい、チームの勝利を願っているのだ。

ナオの気持ちは痛いほどよく分かる。だからこそ、起こってしまったことを嘆いてばかりではいられない。前を向いていこう。沈んでばかりいてもナオの怪我が回復するわけではないのだから。明日の精密検査の結果で幸運にも軽傷であることを祈りたい。さあ、頭を次節に切り替えよう。