鹿島−川崎戦騒動で考えたこと

12日(土)、豪雨により30分間中断の末に中止、ノーゲームの決定が下されたリーグ戦・鹿島対川崎の試合。後半29分まで3−1で川崎リードしていたその勝負の行方は「15日のJリーグ理事会での決定まで持ち越し」とされた。

この一連の騒動をめぐっては両チーム応援者だけでなく、他チームのそれも含めて大いに議論や意見が交わされ、果てはさまざまな誹謗・中傷・罵倒の類までが吹き荒れていた。それだけに、どのような結論に至るのかが注目された。

理事会の結果、「10月7日(水)にカシマスタジアムで中断した後半29分、川崎が3−1でリードの状況から再開する」ということに決まった。当初こうした判断はあり得ないと思っていたが、これで両チームともに文句なしといったところだろう。

そもそも僕は勉強不足で、Jリーグ規約に基づく試合中止の決定方法、中止の場合の勝敗の決定方法など、明確には知らなかった。一説によると、中止試合の勝負の決し方は原則として、「中止試合の途中経過などとはまったく関係なく、0−0から始まる90分前後半の再試合になる」という。

原則として、という言葉が例外もあることをプンプン臭わせていてクセ者だが、3−1が0−0で再試合というのでは川崎がかわいそうすぎる。でもそれが規則ならば仕方ないだろう。実際はいったいどうなるのだろう。そこで「Jリーグ規約」を調べてみると、以下のように記されていた。

《第62条〔試合の中止の決定〕/試合の中止は,主審が,マッチコミッショナーおよびホームクラブの実行委員と協議のうえ決定する。ただし、主審が到着する前にやむを得ない事情により試合を中止する場合は,マッチコミッショナーおよびホームクラブの実行委員が協議のうえ決定する。》

《第63条〔不可抗力による開催不能または中止〕/公式試合が、悪天候地震等の天災地変または公共交通機関の不通その他いずれのチームの責にも帰すべからざる事由(以下「不可抗力」という)により開催不能または中止となった場合には,その勝敗の決定方法は,理事会において協議のうえ決定する。》
【9/16追記】上に記した第63条は昨年(2008年)までのものであることが、コメント(下記参照)をお送りいただいたななしさん、fct-fanさん、ご両名のご指摘により判明しました。改訂された今年(2009年)からの規約では、開催不能または中止となった場合には「その勝敗の決定方法は,理事会において協議のうえ決定する」から「原則として再試合を行う」へ差し替わっていました。よって、以下の文中の※〜※部分は誤った認識で書かれた不適切な表現のものですが、あえて訂正することなく原文のまま残します。慎んでお詫び申し上げます。
※ということで、今回の場合は第63条に当たるわけだろう。そこにはしっかり、勝敗の決定方法は理事会によることが記載されていた。なるほど、僕は「どうして理事会なんぞで決めることになるんだろう、現場にいる人間が速やかに決めるべきではないのか」と単純に考えていたのだが、そのわけが何となく理解できた。

「原則として0−0からの再試合」とはひと言も書いていなかった。これまでJリーグで、試合途中で中止となった過去5試合すべてが理事会で再試合となったため、今度のケースもそうなるのでは……ということのようだ。なるほど、タメになった。※

ついでながら今回の一件とは関係ないものの、以下の条項が目に入り、ちょっと気になってしまった。うーん、「一方のチームの責に帰すべき事由」って何だ?と思い、ああでもない、こうでもないと想像してしまった。しかし0−3の負けになるのかぁ。まあ、こんな事態が起こることはまずないだろうけど……。

《第64条〔敗戦とみなされる場合〕/公式試合が一方のチームの責に帰すべき事由により開催不能または中止となった場合には、その帰責事由あるチームは,原則として0 対3 で敗戦したものとみなされる。》

こうしてなんとか騒動も一件落着のようだが、僕はそもそも豪雨が降ったとはいえ中止にしたこと自体が、未だに納得できていない。これまでのJリーグでは雷なしのただの大雨であったら継続していたはずだ。

それに試合中止の場合の勝敗決着方法。理事会による決着というスタイルを今後も続けるのだろうか。もっとスッキリしたルールを定め、中止決定直後に速やかに発表するわけにはいかないのだろうか。変に前例に基づいた判断にこだわり続けると、めったにないこととはいえ、いつかトラブルが起こるような気がする。

選手のケガを心配したと言われているが、実際は遠い鹿島の地のため観客の帰りの足の便が心配したとか、中止に至った真相はちょっと謎めいている。今度の10月7日の再試合開始前、O田審判には大相撲の審判長のようにマイクを持って説明してくれるのだろうか。いや、まあ、サッカーの審判にはそこまでは求める気はさらさらないのだけれど……。