サイモン&ガーファンクル at 東京ドーム

サイモン&ガーファンクルのコンサートに行ってきました。東京ドームは例によってコンサート会場としては好ましくないのですが仕方ないですね。15日水曜日に武道館で追加公演が決まったのが、チケットを購入して随分後になってからのことでしたから諦めるしかありません。残念でした。

開演17時とはいえ例によって定刻通りには始まらず、25分遅れでスタート。背の高さが違う2人組のシルエットが遠巻きながらに見えると同時に、1曲目の「Old Friends」から始まった楽曲は2時間余りにわたり休むことなく続きました。

Live 1969

ビジョンを観れば68歳になってしまったんだな、と思わせるポール・サイモンアート・ガーファンクルですが、「見た目」の違いは聴いている僕も同じ。映画「卒業」を観てしびれていた頃と比べれば、圧倒的におじさんになってしまいましたが、気持ちだけは変わっていないつもりでいます。

歌い始めれば懐かしい曲の数々に胸打たれつつ、気分はだんだんと30年前に。4、5曲目だったでしょうか、サイモン&ガーファンクルの曲のなかでは僕のベスト3に入る「America」が始まりました。


"Let us be lovers.  We'll marry our fortunes together"
"I've got some real estate here in my bag"
So we bought a pack of cigarettes and Mrs. Wagner pies
And we walked off to look for America
"Kathy," I said as we boarded a Greyhound in Pittsburgh
"Michigan seems like a dream to me now"
It took me four days to hitchhike from Saginaw
I've come to look for America
「ボクたち愛し合って行こう。 結婚して財産をともにするんだ。」
「不動産なら私のかばんにあるわ。」
で,ボクたち,タバコを一箱とミセス・ワグナーのパイを買った。
アメリカを探そうと歩き去る。
「キャシー」ピッツバーグでグレイハンド・バスに乗る時にボクは言った。
「ボクには今じゃミシガンは夢みたいだ。」
サギノーからヒッチハイクして4日かかった。
ボクはアメリカを探しにやって来たのだ。


という歌詞で始まるこの曲。1960年代後半の繁栄真っ只中でありながら、なおかつ高度化した資本主義が抱える数々の矛盾を抱えて病み始めた大国・アメリカを歌い、何とも言えずもの悲しいんですよね。映画で言うと「真夜中のカーボーイ」の雰囲気かな。

有名曲を歌い上げていき、途中2人のソロ活動時の曲も交えながら彼らの最大の大作「明日に架ける橋v」でいったん締めくくり。その後2回のアンコールで「コンドルは飛んでいくv」「ボクサー」「セシリア」を歌い上げ、約2時間で終了しました。

ポール・サイモンが「明日に架ける橋」の2コーラス目を歌うのは実に貴重。曲の作者ですから、ガーファンクルとはまた違った趣が感じられました。好きな「59番街橋の歌=THE 59TH STREET BRIDGE SONG(FEELIN'GROOVY)」「4月になれば彼女は=April Come She Will」が歌われなかったのは残念でした。

それでも僕としてはおおむね満足。どう考えてもサイモン&ガーファンクルと同じ空間に自分がいて、しかも歌声を間近で聴く機会なんぞ、きっと今後生涯あり得ないでしょうから。願わくばもっと小規模なホールがよかったですね〜。中野サンプラザでぜひもう一度……無理ですね。

客層は自分らのような40代後半以降、上は団塊の世代あたりまでが主流でした。きっと皆さん、それなりに若い頃を思い出しつつ、いい気持ちになって帰途につかれたことでしょう。そんな意味でもコンサートはいいもんです。

今日もらったチラシを見ると、8月下旬にドゥービーブラザースが来日するとのこと。なんだか行きたくなっちゃいました。東京のサッカー以外はつくづく懐古主義的な今日この頃です。どうもいかんなあ。