荻窪・丸長のつけめん

昨日も今日も暑かったですね。この時期は雨が降らずに晴れた日は夏本番と同じで、気温だけでなく湿度も高くてゲンナリです。と言いつつも、寒い冬と比べればずっと好きなんですけど。

こんな日にはつけめんがいいですね。今やどこのラーメン屋でも、つけめんは定番メニュー化してますが、味は千差万別。そんなご時世でも、自分のなかで最高位にランクするのは荻窪・丸長のつけめんです。

荻窪駅南口を出て線路沿いの道をを阿佐ヶ谷方向へ300mほど歩くと、右側に「丸長中華そば店」という看板が見えてきます。NTTより先、古本屋の並び角の位置です。店の作りも、そしておじさんもおばさんも、最初に行った十数年前とほとんど変わっていません。唯一の変化は、3年前ぐらい前から娘さんが毎日手伝っていることぐらいでしょうか。


荻窪・丸長のつけそばで幸せな気分になれる自分は、とことん安上がりな人間だと思ってしまいます

この店では「つけめん」ではなく「つけそば」と称しています。何が美味いって、めんをつけるたれが絶品。のぞき見して知る限りでいえば、たれの素に酢、こしょう、グラニュー糖、化学調味料等々を加えて丹念に混ぜ合わせ、これに鰹節系をベースにしたさっぱりしたスープを注いだもの。結構の辛味なので、好き嫌いはあるかもしれません。

チャーハン用のスープ茶碗のような小さめの器に作られたこのたれに、グラグラに茹で上げられたのち水で洗われためんをくぐらせてすするわけです。めんは少々軟らかめに茹でられるのが特徴です。ラーメンの場合はそんなことはないのですけどね。

これが実に美味い! 同じつけめんでも、かの有名な東池袋大勝軒系とは異なったタイプです。僕はこの店ではほとんど四季を通してつけそばを食べています。昨日のように暑い日には特に美味いのですが、人によっては寒い時期にはめんだけ熱い「あつもり」にしているのを見かけます。

もうひとつ絶品なのがメンマ。細く刻まれ、極めて軟らかく煮られたもので、これがたまらなく美味い。この店ではメンマのことを「竹の子」と品書きに記されています。ということで、いつも注文するのは「竹の子入りつけそば」というのが定番化しています。

土日の仕事がない昼に入ったときの注文は「ビールにギョウザ、それと竹の子入りのつけ」となります。ビールのつきだしとして、メンマに刻みネギをのせてしょうゆをたらしたものが出てきます。これと一足遅れで出てくるギョウザで一杯飲みながら、さらにあとで出てくるつけそばでをすすり、たれをスープで割ってもらったもので締める、という展開。

初めて行かれる方へのアドバイスとしては、席に着いたら自分から声を出さず、おばさんか娘さんが水とおしぼりを持ってきた際に初めて注文すること。これが常連の知る不文律となっています。もうひとつは店内にも貼り紙がありますが、頼んだものが出来上がるのに時間がかかるので(最低15分はみた方が懸命)、時間に余裕がないときは避けた方がいいでしょう。

カウンターに座った場合、口数も少なく職人然としたおじさんの仕事っぷりを眺めているのも楽しいものです。おばさん、娘さんとの無言の連係プレーも見事な限りです。こう書くと、偏屈で客を客とも思わないようなタイプと思われるかもしれませんがそうではなく、とても庶民的ないい家族です。

これからの夏場、サッカーはナイター開催が多いですね。土曜か日曜の昼すぎ、スポーツ新聞やエルゴラを読みながら丸長で「ビール・ギョウザ・竹の子つけ」をたいらげ、その後は吉祥寺に場所を移して「MEG」「SOMETIME」あたりのジャズ喫茶で小1時間。その後、開門時間に合わせて味スタへ。そんなのが自分にとって気分のいい観戦プログラムです。

今年もそんな季節となりました。さっそく今週末の清水戦の日もそのパターンで行くかな……おっと、味スタじゃなくて国立だったっけ……。