今シーズンの東京は平山相太に託してみようじゃないか!

もともと判官びいきなところがある性格なので、スポーツにせよ、芸能界にせよ、政界にせよ、二世三世とかエリート系などに対して批判的な傾向にあることは否めない。

だから3年前、平山相太がオランダのヘラクレスをシーズン途中で退団してFC東京に入団すると知ったときには驚いたと同時に、微妙な心境になったものだ。

全国制覇を果たした国見高を卒業し、筑波大に入り、そしてヘラクレスに入ってゴールを連発する活躍。まさに非の打ちどころなく、近い将来に代表入りの可能性を秘めたエリート選手と称することには、誰もが異論はないだろう。

その選手が突如としてオランダのチームを辞め、東京に入ってくるという。いったいなぜ? と疑問に思ったが、当時は「言葉が通じずホームシックに陥った」といったようなことしか報じられていなかった気がする。なので僕は「なんだよ、それ」と合点がいかなかった。

でもそこはそれ、東京応援者としてはFC東京に入ってきた選手に対して悪い気はしない。「平山かぁ……所属する限りはいっちょ頑張ってもらおうか」と、どこか距離を置いた感じを装いながらも、「頼むぞ、ゴールを決めてくれ」と胸の内で応援する自分がいた。

その後の3年間の動向については省略するが、彼が本来持つ能力からすれば、まったく満足できない。もちろん3年のなかで、輝きを見せてくれた試合は何度かあった。しかしそれはあくまで一瞬であり、なかなか光り続けてはくれなかった。

ところが、このところの平山相太の動きはゴールこそ決めないものの、明らかによい方向に変わってきた。走る、ボールに向かう、楔役を買って出る、ボールをキープをする、アシストする。こんなに献身的なプレーに徹する平山相太を見るのは、東京に入って以来初めてのことだ。

それでも、こんないい動きは1試合、あるいは2試合止まりだろう……と半ば疑った、平山に対してひどくネガティブな自分がいた。しかし違った。とうとう一昨日の柏戦ではアシストのみならず、自身のゴールまで決めてしまった。

やはりこれは、本人のなかで何かが変わったと思わざるを得ない。ここでも何度となく失礼かつしつこく坊主だの、丸刈りだの、マルコメだのと繰り返し書いてきたが、頭を丸めたことにはやはり深い意味があったのだ。

いや丸刈りは置いといて、確実に変貌しつつある現在の平山の素直な気持ちが込められた言葉が、今日発売されたエルゴラの馬場康平さんのコラムの中に記されていた。

「過去の甘かった自分がいて、やっと厳しくできる今がある(中略)とにかく必死にやればいい。今はただ、それだけを続けたい」

柏戦の後半0分、今シーズン初ゴールを決めた平山のもとにチームメイトが笑顔で集まったのには、やはり意味があったのだ。今回のこの祝福の輪こそが、平山相太が東京の中心選手となったことの、何よりの証しではないだろうか。

いよいよ始まった東京の反撃の成否は平山相太にかかっている、と言ったら大袈裟かもしれないが、そのぐらいの意識をもって見つめ続けていきたい。