勝ち点1を考える/vs.京都

5月の晴れた日は、1年にのうちで一番気持ちいい陽気と思っている。試合前はいつもの相棒Wと、このところの東京にまつわる話をあれこれ交わしつつ勝つサンドをパクつき、ビールを飲むピッチは絶好調。試合前の至福のひとときだ。

ゴールデンウィーク終盤だけに、ホーム味スタでの試合とはいえ、観客の入りはあまりよろしくない。開門直後のスタンドは空席が目立つ。アウェイゴール裏座席には数えられるぐらいの京都サポーターしかいない。

グラウンドに姿を現した選手たちは暖かな(というより暑い)陽ざしを浴びてアップを繰り返す。これを眺めているとき、いつもに比べてなんとなくこれから試合だ! という緊張感が高まらなかったのは僕だけだろうか。どことなく小平にいるのに近いような感覚だった。

そんななかで迎えた京都戦は、今季初めてのスコアレスドローに終わった。ボールの支配率は圧倒的に東京のほうが高い。東京のシュート数は19本(京都9本)、CKは9本(同2本)。なのに結局はノーゴール。GW期間の過密スケジュール最後の試合はあっけなく終わってしまった。

今シーズン、ここまでの東京は勝つか負けるかの白黒サッカーだったが、ドローは初めて。勝ち点1を得たわけだが、城福さんの「結果的には勝点2を失ったという印象」という試合後のコメントに同感というのが率直な印象である。

1点でも入れて、とにかく勝たなくてはいけない内容だった。それでも点は入らない。積極的に攻めてこない(攻められない?)京都相手に、どうしても得点できない。一時の“勝っても負けても1得点”の頃が早くも懐かしくなってくる。

しかし、あえてこう考えてみたい。攻めながらも甘いフィニッシュでの無得点試合ではあったが、無失点だったではないか。あの内容の京都相手に? とは言わずに、失点数が18チーム中、下から数えた方が早い現在の東京が相手を完封した。ここにスポットを当ててみよう。

攻めて攻めてシュートを打ちまくっても、いつカウンター一発で、あるいはワンチャンスのセットプレーで失点し、負けてもおかしくないのが、悲しいかな現在の東京。この試合で勝ち点1を獲得したのは「幸運」と考えることにしたい。

現にこの勝ち点1の「おかげ」で、前節より順位を2つ上げて13位に「上昇」したわけだから。いや〜、素晴らしい……そんなわけないっ! ダメダメッ!! 東京が誇る日本人FWが揃いも揃ってシュートを打てども枠に飛ばない、もしくはゴール前でボールを持っても打たずに他の選手にパスって、大いに問題アリだ。

つぎの試合までにしっかりシュート練習してくること! それと、「世界の名ストライカー列伝」みたいな内容のDVDでも観て、めいっぱい刺激を受けて出直してきてほしいもんだ。ちと古いけどゲルト・ミュラーみたいなゴール嗅覚に満ちあふれたタイプのものがいいかもしれない。

こうなると、やっぱり負傷中のカボレの復活が待ち遠しくなってしまう。次節はぜひとも間に合ってほしい。オーイ草民、キミは調子どうだい? とにもかくにも、つぎのマリノス戦ではFW陣の痛快なゴールシーンを期待している。