2人の仕事人で白星ゲット/vs.磐田

仕事を終えて帰宅したのは夜7時5分前。ギリギリセーフ! さっそくNHKBSにチャンネルを合わせてドッカとテレビの前に座り込むや、缶ビールのふたをプシュッと抜く。万全の観戦体勢だ。画面に映ったヤマハスタジアムはどしゃ降り。うわぁ大変だなあ、と思いつつも、やはりその場にいたかったという気持ちが湧き起こる。

開幕からつまずいた者同士の対戦となった。試合は序盤から磐田のほうがアグレシッブで、厳しいチーム事情を克服しようという意欲が強いかのように見えた。高い位置からのプレッシャーでボールを奪い、中盤からパスをつないで東京陣内へと攻め込んでいく。ゴールされてもおかしくない場面は少なくとも3〜4回はあった。

そこでビッグセーブを連発したのが、今シーズン開幕戦から東京ゴールマウスを守る若大将・権田だった。最も決定的だったのがU-20日本代表でチームメイトだった山本のニアからのシュート。勇敢に右手で弾いたのは見事のひと言だった。まるで全盛時の土肥が乗り移ったかのようだ。第2節浦和戦あたりと比べ、自信に満ちあふれている。わずかな期間なのに、この進化成長ぶりは物凄い。若いってすばらしい!!

東京の場合、「とにかく失点しない、0点に抑える」という意識を全員が強く抱いて試合に臨んでいたから、一見するとほとんど押されっぱなしという印象を受けてしまう。ちっともムービングなどしていないわけで、これじゃ失点はないとしても、得点をあげることは難しそうだなあ……という気分のまま前半を終了した。

それでも、この磐田戦の前半は前試合の神戸戦の前半ほど退屈ではなかった。守備的に入ることが分かりきっていたので、心の準備ができていたせい? いやいやそういうわけではなく、2試合連続でCBの今ちゃん、佐原の連係を中心に、いくつかの場面を除いては安心して見られたことが大きいのかもしれない。

後半に入っても磐田のほうが見た目には元気がいいように見えたが、東京は落ち着いていた感じだった。中盤ではおなじみ梶山のマムシのようにねちっこいボールキープ(これが出る試合は負ける気がしないんだなあ)や、羽生の前線への勢いのいい飛び出しが見られ始めた。

さらに何本もCK、FKを蹴っておつかれさんの大竹に替わって石川が入り、そして前半孤軍奮「走」したカボレに替わってピアニスト達也も登場すると、東京の流れに替わった気がした。心持ち動きがリズミカルになり、その中で生まれたのが後半37分の赤嶺のゴールだった。

ア、ア、アカミネ〜の今季初得点。ついに決めるべき選手が決めた。FWがゴールを決めると、どことなくホッとした気分になるのは自分だけだろうか。

ゴール前中央、達也からのパスを受けドリブルで進み、相手GK・川口能活と瞬時の駆け引きの末に打ったボールはゴールネットを揺らした。それにしても、よく落ち着いて決めたものだ。試合を通しての赤嶺のシュートはこの1本だけ。FWはこれでいいのだ、これで!(でも、もっとボールを積極的に受け、何本もシュートを打ってほしいのがホンネ)

守の権田、攻の赤嶺。2人共、自らに求められている役割をきちんと果たした。ええ仕事しましたで、ホンマに。でもMOMはやっぱり権田だな。試合後の“タラレバ”はまったく無意味だが、もし磐田に先制点を奪われていたら、勝ち点3は東京のもとに届かなかった気がする。この日のヤマハスタジアムでのヒーローは、ゴンはゴンでもあの人ではなく、権田修一だった。

それにしても最後まで降りっぱなしの悪天候にもかかわらず、東京ゴール裏にはたくさんの観客がいたし、テレビを通してでも声援はホームの磐田を上回っていた。赤嶺の「シャー」もバッチリ聞こえてうれしかったなあ。この勢い(それほどのもんじゃないが)に乗り、つぎのホーム味スタではACL明けで疲労感たっぷりであるにちがいない鹿を退治してしまおう。


↑サイタサイタ、サクラガサイタ。これからが東京の春本番