代表のドローを「それなりに」評価する

代表戦といえどもW杯最終予選となると、やはりキリンチャレンジカップとやらとは比較にならないくらいにテンションが高まるのは私だけだろうか。といっても東京の公式試合とは段違いなのではあるが、それでも注目度はひじょうに高い。

これまではアジアの宿敵といえば韓国だった。でも前回ドイツW杯以降、それはオーストラリアにとって代わった感じがする。ましてこの最終予選、同グループになったのだからなおさらだ。「絶対に負けられない」のである。話は逸れるが、テレ朝・角澤アナはもう無意識のうちにこのセリフを口走ってますな。日常でも仕事中、家庭、電車の中でもきっと脈絡なく言ってるはずだ。飲み屋でも「ホッピーおかわり!……絶対に負けられない」「はぁ!? お客さん、なんスか?」みたいに。そんなこたぁないか。

仕事から帰り、前半25分あたりからテレビに釘付けとなって観戦する。両チーム得点なし。やはり最初に気になるのは東京の2人。予想通りに長友は左SBで先発、今ちゃんはサブだ。Jが開幕したら東京でドドドンと調子をアップさせ、次の最終予選・バーレーン戦ではボランチで先発してほしい。どうせ代表に呼ばれたのならば、やはり出てもらったほうがうれしいのが本音だ。怪我だけは絶対にしてもらいたくないが。

後半は序盤から日本がボールを支配し、ほぼ攻めっぱなしだった。オーストラリアが引き気味だけに、よけい日本が攻撃的に映ったのだが、それでもだいぶ岡田監督の戦術のようなものが浸透しているのがわかる展開だった。
DFラインから中盤、そしてサイドへと細かくパスをつなぐ。両サイドバックからの仕掛けは右の内田の方がやや多めだが、長友はいつものように攻守によく動き回り目立つ存在。そのサイドからのクロスや俊輔、遠藤からのセットプレーから玉田が、田中達也が、大久保が、そして中澤が闘莉王がゴールを狙う。だがこれが例によって決まらず、結局はスコアレスドローに終わった。

この日の日本代表、けっして悪くなかった。きちんと各選手が役割を心得た動きで攻める姿勢を失わなかったので、見ていても「ナーニやってんだよ〜〜」という気にはならなかった。一方、オーストラリアがドロー狙い?とも思えるほど、あまりガツガツとこなかったこともあるが、たまのピンチもDF陣が落ち着いて対応していたと感じた。

課題・問題点はやっぱり得点をあげられないことに尽きる。相手を完封するのはいいが、自分とこもゴールが決まらなきゃ勝てっこない。シュートの精度の低さについては毎度のことなので、ここでは多くを語るまい。今回、攻撃の形は「ある程度」はできてきているのだが、そこで状況に応じた緩急の使い分けができていない。ここはもっとシンプルに、ここはもっと大事につないで、といった状況の見極めができていないわけではないのだろうがフィニッシュのシーンでプレーに反映されないように思えた。でも、昨年のひと頃に比べるとだいぶよくなってきている気がした。

あるスポーツ紙が試合終了後に現場観戦したサポーター100人に「今後も岡田武史監督に代表監督を続けてほしいか」というアンケートを実施した結果、辞めてほしいが65人で続けてもらいたいが35人だったという。
私は「続けてほしい」に一票。オシムからあのような形で急きょ就任し、ようやく形が見えてきた矢先に監督が変わったのでは選手も困惑してしまうにちがいない、と想像する。
オーストラリアはFIFAランクでも日本より上位。そう簡単に勝てると思ったら、それは勘違いだ。どのチームにも調子の波があるもの。日韓W杯当時の代表に比べれば今の代表は実力やチーム完成度では劣るかもしれないが、上昇気配を感じられる試合だった。

ちなみに終了後のピッチ上で長友が俊輔から叱られたそうだ。もちろんプレー上(パスの出し方)でのことでだが、どうやら長友は俊輔からある程度認められている様子。そうやって諸先輩からダメを出されながら、どんどんと上手くなっていってもらいたいですね。もちろん、それはプロサッカー選手である長友自身のためであると同時に、東京のために!であってほしいわけだけど。結局はここにたどり着いてしまうんだなあ。