悔しさをビタミンに!/リーグ戦最終節vs.千葉/フクアリ

仕事のため、フクアリはもちろん、スポーツバーでも観戦できない。携帯サイトの速報だけが頼り……と思っていた。一番フラストレーションがたまるスタイルだ。キックオフ午後2時30分の頃、ちょうど仕事は終わりにさしかかっていた。

午後3時ちょい過ぎ。車に乗り込み、もしやと思ってラジオをニッポン放送に合わせてみる。すると予想は的中、札幌対鹿島の試合をやっていた。ニッポン放送はAM局のなかで唯一、たまにだがJリーグサッカーを中継するのである。

番組は優勝本命の鹿島の試合が中心ながらも、途中で他会場の経過を頻繁に伝えていた。フクアリの千葉対東京についても、得点が入るたびに報告される。まずカボレのゴールが決まり、後半に入って長友の追加点で2-0になったとき、正直「勝った」と思った。
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だがその40分後、試合は4-2で東京が逆転負け、同時に千葉のJ1残留残留決定というショッキングな結果で終わってしまった。なんてこったい。胸の内でそうつぶやきながら、かなりボー然とした気分でハンドルを握っていた。思い返せば、危なっかしいったりゃ、ありゃしない。

細かいところは実際に観ていないので分からないが、とにかく後半の残り15分間で4点立て続けに入れられたというのは前代未聞。DFの問題なのか、東京の選手の運動量が低下したからなのか、はたまた……いや、そうじゃない。やはり純粋に千葉のほうが「勝ちたい気持ち」が強かったのだろう。

東京だって攻めながら2得点を奪う流れだったのだから、きっと気合いは入っていたはずだ。ACL出場への3位を目指すうえでは勝利は不可欠。川崎の負けが条件と他力本願ながら、それに向けて「勝ちたい気持ち」は高まっていた。だがこの試合に関して言えば、降格のかかった千葉に優る気持ちにはなり得なかったのだろう。結果、サッカーの神様が舞い降りたのは千葉の選手、それに真っ黄色に染まった大サポーターの頭上だった。
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気持ちが勝利を呼び込むことって、やっぱりあるものだ。あらためてそう思い込まずにいられない。ラジオ解説のサッカーライター・金子達仁氏は「これはすっごいことですよ、千葉のサポーターにとっては歴史的な試合。“フクアリの奇跡”として語り継がれるでしょうね」と、リーグ優勝を果たした鹿島の話などそっちのけで興奮ぎみにまくしたてていた。

千葉は前身の古河電工時代から降格したことがないという伝統クラブ。その長い歴史に最大の試練を課すハードボイルドなアウトローになるはずが、ドラマの終盤に裁かれるぶざまな悪役に切り替わってしまった。試合後のニュースやらスポーツ番組、それにあれやこれやのサッカーサイトでは「千葉、奇跡の大逆転でのJ1残留おめでとう!」のオンパレードである。
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しかし正しく言えば、2点のリード緒ひっくり返された東京の方に技術的・精神的な問題点があったのだ。要するに力不足。それが現実だろう。

今シーズン、秋口になってからチームの調子は白星を重ねだし、一時11位まで落とした順位を最高5位にまで押し上げた。城福監督がシーズン開始前に目標とした「最後は優勝争いができる順位に」は達成されたことになる。しかし夢はそこまで。現実にはまだまだ足りないものがある。それがこの千葉戦でもはっきりした。来シーズン、いや、2週間後に控えた天皇杯準々決勝・清水戦では気持ちを切り替えるとともに、今回の苦い経験をなんらかの形で活かしてもらおう。

我々サポーターも同じ。2点を奪い、早々と勝利を確信し、気をゆるめてはいなかったか? 相手の背水の陣の鬼気迫る状況を見くびってしまわなかったか? 東京はいつのまにか下位のチームには勝てるものだと過信することはなかったか?……etc. 考えるべきこと題をたくさん残した試合だった。この課題を次なる試合で選手をサポートする際のビタミンにしていきたい。
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それにしてもフクアリで観ていたらきっと、帰りの京葉線ですでにぐったり悔しさ紛らすために爆睡→東京駅に着いて相棒と神田or新宿で飲む、飲む、飲む→飲み過ぎた状態で中央線に乗り、爆睡→駅を下りてフラフラしながらチャリンコで帰宅、爆睡→本日(日曜)は二日酔い、という流れになっていたにちがいないな。でも行きたかったのが本心。たとえ大逆転負けの結果でも、自分自身の目で、体で超ド級の悔しさを体感しておきたかった。