耐えて耐えて耐え抜いてVゲット!/リーグ戦第25節vs.川崎/等々力

おしん」の「しん」は辛抱の「しん」、なんて言葉が一時、流行ったっけ。覚えている人も少なくなったかなあ。

そんな言葉がピッタリはまったのが昨日の多摩川クラシコ・川崎戦だった。恐怖の攻撃陣相手に、幸運とも言える開始5分の赤嶺の先制ゴールを守って守って守り抜いた1対0の勝利。タイムアップのホイッスルと同時に東京の最終ライン4人はバッタリとピッチに倒れ込んだが、声を出しっぱなしのゴール裏東京サポーターは感激に沸き返った。
                          ☆
殊勲のゴールを決めた赤嶺がその11分後に相手選手との接触により負傷退場。そして41分には攻守の要の今ちゃんが相手選手と強く接触したとして一発レッド退場。この2つの接触場面はともに東京ゴール裏からは遠い位置だったので、正直言って「???」である。

1人少ない状況で、なおかつ相手は重戦車軍団。これはもう守るしかないでしょ。本来の11人ならナオや大竹、達也などを入れて攻撃を仕掛け、追加点を奪いにいくところ。だが10人となっては、そんなことしようものならたちまちDFが手薄になり大量失点の可能性大だ。仕方あるまい。相手が相手ならまた違った選択もあっただろうが、川崎ではねえ。

↑等々力での初白星。それよりも何よりも選手の奮闘ぶりがすばらしかった


結果は0-1で東京が守り浮いての勝利。それにしてもよく守り抜いたものだ。シュート数は東京が6だったのに対し、川崎は20。幸いにしてチョンテセの打ったのがポストを叩いた以外は枠外だったり、威力がなかったり、塩田の正面だったりで助けられたのもあるだろう。しかし何よりもチーム一丸となって「この試合は絶対に守りに徹して勝つ」と意思を統一し、実際のプレーに反映したことに尽きる。

特に佐原は古巣相手にすごい気迫で立ち向かっていた。気がつかなかったがキャプテンマークを巻いていたそうだ。城福さんからのご指名だったらしい。これも闘志を燃やすきっかけになったのだろう。最も怖いテセをぴったりマークし、楽な体勢でボールに触れさせなかったのには並々ならぬ気合いが感じられた。

モニも相変わらずこのところの安定感を維持し、元日本代表・茂庭照幸、完全復活! といった感じ。元気者の長友は試合後、「まだまだできますよ、もう1試合ぐらいできちゃう」と話したそうだが、もちろんギャグとしても頼もしい限りだ。

赤嶺に替わって出た平山、よかったぞ! 守備に徹する戦術の中で自分が果たす役割を的確に把握し、それを実践していた。前線でボールを受けたときのキープは本領発揮といったところ。とにかく1点がほしい川崎にとっては実にいやなプレーだったことだろう。シュートも3本ぐらい打ち、積極的な姿勢にこのところの成長をあらためて感じさせた。

とにかくこの試合、とくに後半は、途中退場の2人の分まで頑張って勝つんだという選手全員の意識が観ていて伝わってきた。ひさしぶりに東京伝統の「部活サッカー」(いい意味でのね)を観た気がする。

↑試合後の挨拶に続き、塩田と佐原の“シャー”のおまけ付き

                          ☆
それにしても今日のゴール裏は満席だったせいもあるが、東京側サポの声は大きかった。みな自主的に腹の底から叫んでいた。この前の柏戦もそうだが、やっぱりアウェイは燃えるなあ。それに加えて赤嶺、今ちゃんの退場でよけいに熱くなってしまったんだろうな。

監督の采配も、選手のプレーも、サポーターの応援も、途中退場の2人の分まで頑張って勝つんだ、という気持ちが最後まで途切れなかった。うれしいのと同時に、何だかじーんと胸に込み上げるものがあった。

これでリーグ戦3連勝。つぎは早くも火曜に絶不調で降格の危機に瀕しているジュビロ磐田との試合だ。心配な赤嶺のケガは腕で、検査の結果骨は折れていなかった。でも今ちゃん(今シーズン2回目のレッド退場で2試合出場停止)とともに、どうやら磐田戦出場は難しそう。

磐田は現在の順位こそ下だが、そんな気持ちで臨んだら危ない。代表経験のある選手が何人もいるわけだし、やられてしまいかねない。だが、磐田に負けてしまったら、今回苦闘の末に勝ったことが帳消しになってしまうではないか。油断せず、しっかり勝ち点3を奪ってもらいたい。

結果もそうだが、内容が大事。川崎相手に10人では、やむなく守備的な戦いに徹したが、今度はしっかりムービングで攻撃的にガンガン仕掛けていくサッカーが観たいものだ。