3ゴールで準々決勝へ進出!/天皇杯4回戦 vs.大宮

3年ぶりの大宮・NACK5スタジアム。
大宮駅からわざと細道を選んでくねくねと進み、あとはまともに氷川神社参道をまっすぐ歩くと、七五三のお参りを済ませた親子連れと何組もすれ違う。
「そうだよなあ、七五三はこの季節だったよ」と相棒と話しながら、待機列最後尾にたどり着く。

持参したシートに座って遅い昼食をとり、1時間もすると入場が始まった。
今回は深い理由もなく空いていたゴール裏スタンドの高い位置の座席を選んだ。
普段、どこのスタジアムでもわりと中段より前寄りの座席を取ることが多いので、異例のことである。
前方に視線を向けると、反対側のエンドのゴールマウスまでくっきりと見えるのがとても新鮮だった。

ただ気になったのは、この付近で立って声を出す人がどれだけいるかだ。
10月初めの鹿島戦以来。久しぶりのスタジアムだと応援の意識が強くなってしまう。
さらにこの間にはポポ退任やらルーコン引退という残念な話題が続き、「このチームで元日まで」の思いがいっそう高まっただけによけいに力が入っていた。

周囲が座ったままのじっくり観戦派が多かったら、ちょっとやりにくいぞ……という考えは杞憂に終わった。
バックスタンド寄りの最上段近くだったが、いざ試合が始まるとしっかりとみんな立ち上がり、大声でチャントを歌い始まった。

そんなファン・サポーターの期待に応え、選手たちもいい試合を見せてくれた。
この試合での3つのゴールはそれぞれ異なる形で生まれたが、すべてに深い意味が感じられるものだった。

前半終了まぎわのロスタイムといういい時間帯に決まったタマの先制点は、ルーコンからのチームの勝利最重視の気持ちをタマが受け止め、ワントラップしたあとに迷わず左脚を振り抜いた結果のもの。

2点目は相手陣内でヨネが猟犬のごとく奪い取ったボールを、不振に苦しむエース・千真に「これを決めて復活を!」とばかりに託したラストパスを確実にコントロールして決めたもの。

そしてコースケの3点目は、今年になってポポからの指令を受けて取り組んだ結果開眼した、中村俊輔に優るとも劣らない左脚からの芸術的FK。
これら3ゴールはどれもこれも、同じメンバーで連日練習と試合を重ねてきたタマモノといってよいだろう。

この試合はヒョンスを含めてレギュラー4人が代表に招集され、しかもすべてがいわゆるセンターラインを形成する守備的ポジションの選手。
いくら絶不調の大宮であろうとも、ノヴァコビッチは怖いし(ズラタンがいなくて助かった)、一瞬の軽率なミスが失点につながりかねないと思っていた。
しかし、CBの丸山・加賀は急造コンビながらも役割を分担してよく頑張っていた。
シオも相変わらず安心してゴールの番人を任せられる動きだった。




↑試合後の選手の表情は明るく(上)、「POPO TOKYO 2014.1.1」の横断幕に喜んだポポと塚田さんが挨拶に姿を現し(中)、3年ぶりに公式戦に出場した平松による涙のシャーで締めくくった(下)

前週のセレッソ戦は、今季何度もあった「勝ちきれない試合」の典型と感じた。
一方、この大宮戦は「十分に優勝争いのできるチーム」であることを再認識する試合だった。
今年1年間、東京はこの辺りのアンニュイなボーダーをうろちょろと浮遊している。

最大の課題は高い集中力を試合終了までキープできるか否か。
誰もが指摘するところではあるが、やっぱりここに落ち着くのだよなあ。
リーグ戦残り3試合と天皇杯でいっきにこのハードルを乗り越え、来季への期待につなげてくれれば心地よいのだが。

ハァ〜、それにしてもこれでリーグ最終節がポポ&ルーコン最後の試合ではなくなった。めでたいことである。
次の天皇杯準々決勝は12月22日の仙台戦。2年ぶりにサンタ帽の出番がやってきた。
とはいえ、会場に予想されるユアスタまで行くのは諸般の事情からなかなか難しそう。
せめて天皇杯ではおなじみの“準ホーム”熊谷でやってくれれば行かれるのだけど。無理だろうな。

天皇杯4回戦】大宮0-3東京
2013年11月16日(土)/NACK/19:00キックオフ/[観客8,434人]
得点:前半45分+1三田 啓貴/後半9分渡邉千真/後半37分太田宏介