納得の一戦/vs.鹿島(天皇杯)

大筋だけで見れば鹿島は鹿島らしく勝ち、東京は東京らしく負けた試合ではあった。しかし、そんなふうにドライには割り切れない思いがずっと尾を引いた。でもそれはリーグ戦最終節・京都戦のときのようなショッキングなものとは全然違っていた。

鹿島はガンバとともに現在のJで実力においてはトップクラスとみなしている。その鹿島を相手に、今のところのすべてを出し切ったにもかかわらず勝てなかった悔しさと、中途半端でなくあきらめないサッカーをやりきった嬉しさ。そんな裏腹の気持ちの両方が残った。



↑平山のものすごいオーバーヘッドで1-0。気持ちは高まった


↑勝負は福岡戦に続き延長戦へ


↑ラストワンプレーでの失点で敗北。2010年シーズンが終わった


わずか4日前の準々決勝では、キックオフからナオの同点ゴールが飛び出すまでの90分ちょいはずっと消化不良で、腹がたったり情けなくなったりの連続の試合内容。その福岡戦と鹿島戦は2試合ともに、誰もが思ったようにほとんど今年の東京そのままだった。

少しだけ異なる点は、降格という厳しい経験を通して身についたかもしれない勝利に対する意欲が、選手たちのプレーから強く感じられたことだ。結果は福岡に勝ったものの鹿島には勝てず、底力の差を痛感させられたが、それでもある程度納得のいく内容だった。

2年前に続いて元日決勝の夢は実現しなかった。東京を応援してきた中で最も苦しかったシーズンは終わった。日常生活の精神状態にも大いに影響を及ぼした(苦笑)。でも半ば無理やりポジティブにまとめれば、今季はとても貴重な体験をしたと感じている。

貴重な体験をしたならば、それをもとに来年以降へ活かさなければ意味がない。来シーズンは今までにないたくましく力強い東京に進化するためのターニングポイントになるはずだ。そのスタートラインとして、天皇杯の準々決勝と準決勝の2試合があってよかった。

監督・スタッフ・選手にはプレッシャーの連続で疲れ切った心身をじっくりとリフレッシュしていただきたい。ザックの代表合宿に参加の今ちゃん、権田は休む暇がないなあ。2人共、新婚さんなのになあ。でもきっといい経験をして東京に戻ってくるだろう。

鹿島戦後、すぐに移籍や入団のニュースが続々と舞い込んでくるが、これはもう自分の手の及ばないところなのでじっと眺めていくしかない。本心を言えば時計の針を進めて、もう明日にでもシーズン開幕戦を迎えたい気分。いや、応援する側もここらへんで少し頭を冷やしておいた方がいいかな。


さて東京を応援する皆さん、今年もおつかれさまでした。例によって振り返れば喜怒哀楽入り交じる一年でしたが、ちょっと真ん中の2文字、怒と哀の割合が多かったですね。来年はぜひ最初と最後の2文字、喜と楽の多いシーズンであるといいですね。よいお年をお迎えください。