サウナ状態下での敗北/リーグ戦第21節/vs.浦和/味スタ

キックオフのホイッスルが鳴る。いつものようにゴール裏で声出しをスタートする。5〜10分経過したが、早くも声はかすれるわ、尽きることなく汗は噴きだすわで、どうも調子が出ない。3時間前に入場してから飲んできたビールがすべて汗となって出てきている感じだった。

見れば、隣の友人Wも顔も腕もビッショビショ。スタンド部分はとにかく蒸し暑かった。ハーフタイム、いくらか風の吹くコンコース下で吸ったタバコのうまかったこと。とにかくものすごい湿気の高さで、ほとんどスチームサウナに近い状態。こりゃ選手は大変だ……!
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と、非常に厳しい状況のなかで始まったこの試合。いくら前線までボールをムービングさせていっても、その後いっこうに得点にまで至らない。まったくもって消化不良この上ないサッカーが続く。たまさかシュートを打っても、枠に行かないか、力不足でゴールとなる予感など皆無。得点が入らなければ試合には勝てません。

では浦和が技術的に大いに優っていたのか? といえば、それほどのもんじゃなかった。

高原は以前に比べればマトモになった様子で、打ったシュートは運よくバーやポストに当たって助けられた。それでも全盛時にはほど遠く、まったく怖さが感じられない。田中達也は相変わらずよく動いたが、前回埼スタでの教訓を生かして東京DF陣がうまくチェックしていた。闘莉王はDF業にわりと専念……というか、この日は動きが少ない人になっていたので助かった。

しかし問題は後半。開始5分を過ぎたあたりで東京の選手の動きが妙に悪くなった。パス回しが遅いし、それ以前に受けても足が止まっているので浦和の選手にカットされてしまう。ボール支配率の低いこんな展開が20分近く続き、うだるような蒸し暑さが倍になって感じられた。こういう流れはよ危ないんだよな〜、と思っていたら、ケガ明けのポンテが入ってきてイヤな予感が。

それからすぐ、案の定入ってきたポンテからのパスが鈴木啓太に渡り、そこからクロスがゴール左サイドに。駆け込んできた相馬にボレーで決められ、先制点を決められた。この場面でのボールの動きは速かった。モニ、佐原、長友はまったく対応できなかったが、まあ「仕方ないな」という感じだろう。

点を奪われて再び目が覚めた東京だったが、浦和は得意の7〜8バックで守備固めに入った。こうなると攻め手に欠く東京攻撃陣は手詰まりに。カボレはお疲れ、平山は枠外シュート、替わって入った赤嶺もパットせず、渾身の力を振り絞って打った羽生のシュートもゴール右に外れてしまった。ここ一番の力が足りなければ、運もない。

浦和は前試合で柏にロスタイムで同点に追いつかれた苦い経験を生かし、時間稼ぎプレーに徹した。足が攣って立てない永井へ「外に出なさい」というポーランド人レフリー。これを聞かない永井に即イエローの場面は痛快だった。永井はカードが出たらすぐにピッチ外に出て、そのまますたすた歩いて再入場してたっけ。
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試合はそのままタイムアップ。いやはや、いい汗かきました。相当カロリーを消費したはず(きっとしてないんだな、これが)。飲んだビールはどうやらみんな汗となって流れ出てしまい、体内には残っていない様子で、まったくのシラフ状態。アウェイゴール裏の勝利を喜ぶ大合唱を実に醒めた気分で聞くことができた。

それにしても浦和には勝てない。これが現実の実力差なのだろう。だが、その実力差は昨年ほど大きくはないと感じられた。つぎに戦うときにはきっと勝てるにちがいない。そのときの試合後には高らかに「眠れない街」と「ユルネバ」を歌って帰りたい。でも、それも鬼が笑う来年の話ですね。あ、天皇杯で当たればいいんだな。そんなうまくいくもんか。
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それにしても、やはり自分が思う以上に高温多湿状態での敗戦の衝撃はかなり根深いようだ。なかなかつぎの試合【緑とのダービー戦】に気持ちが移っていかないのである。メディアを目にする際、もっぱらサッカーには背を向け、オリンピックに目を向けている。悪いけどエルゴラも今回はお休みとした。

さて、いつまでもそうは言っていられない。明日あたりからぼちぼちと頭のなかを緑征伐モードに切り替えるとするか。